校長日誌

校長日誌

自分の番 いのちのバトン

 今から15年位前、先輩の先生から素晴らしい詩を紹介されました。詩人であり、書家でもある 相田みつお(19241991) さんの「自分の番 いのちのバトン」という詩です。私は、地理歴史科・公民科のうち日本史や世界史を中心に多くの高校生に教えてきました。この詩に出会った時、歴史教育は、いつの時代でもかけがえのない尊い命のバトンの大切さを伝えることだと思いました。

 父と母で二人

 父と母の両親で四人

 そのまた両親で八人

 こうしてかぞえてゆくと

 十代前で千二十四人

 二十代前では・・・?

 何と百万人を越すんです

 過去無量の

 命のバトンを受けついで

 いまここに

 自分の番を生きている

 それがあなたの命です

 それがわたしの

 いのちです

        みつを

 連綿と続く命のバトンが受け継がれてきたおかげで、今の自分は存在しているのです。ご先祖様の一人でも欠けていればバトンは途切れ、今の自分は存在していないのです。自分の命の尊さに気付けば、他人にも優しくなれるはずです。人間は自己中心的な存在です。もう一度、自分自身を見つめ直してもらいたいと思います。そして、自問してみましょう。「他人に優しくしていますか」
 この詩は、『いのちのバトン-初めて出会う相田みつをのことば』(角川文庫 2005年)に所収されています。その他、心を揺さぶる詩がたくさんありますので、ご一読ください。 

 

追い求めること

 今年も鳩ヶ谷高校の部活動は元気です。剣道部、女子ソフトテニス部、陸上部が県大会に出場しています。生徒諸君の奮闘とともに、顧問の先生方に感謝しています。3年生は引退の時期になっていますが、その他の運動部も文化部も頑張っています。

 JR北浦和駅前にある県立近代美術館では、第64回埼玉県美術展覧会(県展)が開催されています(今日が最終日です)。鳩ヶ谷高校写真部の2年生の生徒の作品と今春の卒業生の作品が展示されているので鑑賞に行きました。2年生の生徒の作品は「文化祭翌朝」という6枚の組写真です。床にころがる空き缶、放置された立て看板、空虚な教室の雰囲気などが白黒写真から伝わります。祭りの後の寂しさから活気があったであろう文化祭の賑やかさも感じさせる作品でした。卒業生の作品「回想」は、白黒のコントラスト鮮やかな作品で、埼玉新聞社賞を受賞した力作でした。彫刻の部門では、今年80歳になる高校時代の恩師の作品も展示してありました。先日の同窓会でも「作品を創るのは大変だけど、これが楽しいのだ」とお話しされていました。
 人間は、何かを追い求めることにより、自分の価値を見いだします。高校生という青春時代、スポーツでも文化活動でもよいので、今の時期にしかできないことを、何か一つ追い求めてもらいたいと思います。現在、ワールドカップが開催されていますが、出場している日本人選手のプロフィールを見ると、夢を追い求めることの素晴らしさを改めて教えてくれます。

 

合唱同好会

 14日、さいたま市文化センターで第59回埼玉県合唱祭が行われ、鳩ヶ谷高等学校合唱同好会も出場しました。埼玉県合唱祭は、中学生、高校生、大学、社会人の256団体が参加する国内でも最大規模の合唱祭です。

 鳩ヶ谷高等学校合唱同好会20名の生徒が、「Ave Maria」(アルカデルト作曲)と「ハナミズキ」(一青 窈作詞:マシコタツロウ作曲・今村 康編曲)の2曲を熱唱しました。私は、1階15列目のセンターで、じっくりと鳩高生20名の合唱を聞きました。客席から、生徒一人一人が思いを込め、表現力豊かに熱唱している姿を間近で見ることができました。歌は、聴く者に力を与えてくれます。

 私は、2曲を聴いて、「Ave Maria」からは清らかさ、「ハナミズキ」からは生きることの素晴らしさを感じました。「Ave Maria」は、16世紀の作曲家アルカデルトのシャンソンを元に、19世紀フランスで改編された賛美歌だそうです。「ハナミズキ」の歌詞は、一青窈さんが、アメリカ同時多発テロ(2001911)が起こった時、ニューヨークにいた友人からのメールをきっかけに、一週間ほどでこの歌詞を書き上げたそうです。一人一人が自分の好きな人のずっと先の人の幸せを願うことで、怒りの連鎖は止められると願ったそうです。

 鳩ヶ谷高等学校合唱同好会の歌声が、会場に爽やかさを運びました。歌の魅力を改めて感じました。


かもしれない運転

 昨日、本校で交通安全講話を開催しました。川口市役所交通安全対策課と武南警察署交通課の方に御来校いただき、生徒に講話をしていただきました。埼玉県では、今年度の交通死亡事故者数が67名であり、1日あたり76件の交通事故が発生し、毎日100名程度が負傷されているとのことでした。

 交通事故防止のためには、

①「大丈夫だろう」ではなく、「車が来るかもしれない」という認識の「かもしれない運転」

②自動車には死角があることをしっかりと認識する「車の特性を知る」

③自分中心ではなく相手の立場になって運転する「思いやり運転」
の3点を強調されていました。交通事故は誰もが被害者、加害者になる可能性があります。一人一人が交通マナーをしっかりと守り、余裕を持った行動をしてもらいたいと思います。

くすぶる力

 最近、テレビにもよく出演している明治大学文学部の 齋藤 孝 教授の『くすぶる力』(2013年・幻冬舎)を読みました。齋藤教授は『声に出して読みたい日本語』(2001年・草思社)が大ベストセラーになり、世間でも著名となり、大学の他、テレビのコメンテーターなどでも活躍さてている多忙な方です。『くすぶる力』の本の帯に「僕も20年くらい、くすぶっていました。決してムダな時間ではなかった」というコピーに惹かれました。

 よく、「人生は挫折を知らない奴はだめだ」と言う方がいます。そのようにおっしゃる方は、たいがい成功している方が多いようです。人生、挫折をしないで過ごせるに越したことはありませんが、それができないのが、また人生です。

 本では、くすぶっている人とは、自分には才能があるははずなのに世間は認めてくれない、正当に評価してもらっていない、自分が思い描く自分像と現実にギャップがある人々と定義しています。こうした苛立ち、焦燥感からの脱却についての指南書です。

 私は歴史が好きで、歴史上の人物を調べたりする時がありますが、ある意味、歴史はくすぶりの極致です。先日、校内で日本史「壬申の乱」の授業を見ましたが、大海人皇子(おおあまのおうじ:のちの天武天皇)もくすぶっていました。慶応義塾大学の創始者で、1万円札の肖像画である福沢諭吉も「門閥制度は親の仇で御座る」(『福翁自伝』)と、くすぶっていました。

 齋藤教授は、「素直で貪欲な態度で人に向かう」「仕事の中で疲れない一点をみつける」など具体的なアドバイスをしています。「失敗は準備不足と経験不足で起きる」とも言っています。準備して、チャレンジして、経験を増やして、また準備してチャレンジすることの大切さを説いています。「凡事徹底」の大切さを改めて感じました。

卒業生の力

 鳩ヶ谷高校は、昨日から三者面談が始まり、今日も授業日です。

 今日の3時限目に3年生対象の「卒業生を囲む会」が開催されました。鳩ヶ谷高校を卒業して、大学、短期大学、専門学校、社会人として活躍している卒業生42名に来校してもらい、15会場に分かれて3年生に語りかけてもらいました。どの会場でも、3年生は、卒業生の皆さんの経験にもとづいた具体的な話に対し熱心に耳を傾けていました。
 鳩ヶ谷高校は、平成3年3月に第1期生427名が卒業して以来、6300余名の卒業生を送り出してきました。私は、学校の最大の財産は、社会の様々な領域で活躍されている卒業生の方々だと思っています、卒業生の益々のご活躍を祈念しています。

梅雨の恵み

 今日、気象庁は関東地方が梅雨入りしたとみられると発表しました。平年より3日早く、昨年より5日早いそうです。

 私は、鳩ヶ谷高校に着任して最初に感じたのは、花と緑が豊かな学校だということです。HPでもご案内していますが、本校には園芸デザイン科があり、農園と立派な温室3棟があります。梅雨に入り、鳩ヶ谷高校の農園も潤いをみせています。

 今日の午後、「総合的な学習の時間」に埼玉中小企業家同友会の7名の方々に御来校いただき、3年生の各教室で御講演をいただきました。高校生では、実業界の皆様から直接お話を伺う機会はなかなかありません。大変貴重な時間をいただきました。
 梅雨の季節は、稲作をはじめ農作物には恵みの季節です。同友会の皆様の温かいお言葉が、鳩高生の心にしっかりと染み透っていたようです。


イノベーション(innovation)

 昨日、JR東日本のSuicaを開発した椎橋章夫さんの講演を聞きました。椎橋さんは、埼玉県日高市のご出身で、県立川越工業高校機械科、埼玉大学工学部機械工学科を卒業され、日本国有鉄道に入社されました。県立川越工業高校時代は、数学と機械実習(先生も含めて)が大好きで、大学進学を決意されてからは、大学受験のために進学校用の高校教科書を購入し、大学受験ラジオ講座で独学されたそうです。昭和621987)年に国鉄が民営化された際、JR東日本に入社し、Suicaの開発から導入まで16年間奮闘されました。最初は2人だけの研究で始まったそうです。9年前にNHKテレビ「プロジェクトX」でも取り上げられ(「執念のICカード 16年目の逆転劇」平成17111日放映)、大きな感動を日本中に与えました。

 講演では、イノベーション(innovation)の大切さについてお話いただきました。イノベーション(innovation)とは、物事の「新結合」「新機軸」「新しい切り口」「新しい捉え方」「新しい活用法」(を創造する行為)など多様な意味を持った言葉です。現在、首都圏でのICカード利用率は89%であり、ICカードの無限の可能性を改めて認識しました。椎橋さんは、「モノづくりのキーワードは3つ。人、心、物好き」とお話しされました。何事も最後は人と人であること、大きな志を持つこと、あえて困難に挑戦する不屈の精神、覚悟、執念が大切であることを強調されました。
 最後に、私たち教員に贈る言葉として、「教える覚悟」「育てる覚悟」「公開する覚悟(教育の見える化)」の3つの覚悟について語られ、激励をいただきました。
 とても元気をいただいた講演でした。

  
 

人生は全て二つのことから成り立っている

 今日は、全校集会があり、そこで話した校長講話について紹介します。

 今日は、「人生は全て二つのことから成り立っている」というお話しをします。皆さん、元気に挨拶していますか。「人間は自己中心的な生き物。挨拶をされて怒る人はいないが、挨拶をされないで怒る人は沢山いる」と始業式の時にも話しました。

 「人生は全て次の二つから成り立っている」と言ったのは、今から200年位前のドイツの詩人であり、劇作家であり、政治家などいくつもの顔を持っていたゲーテです。「二つ」とは、「したいけど、できない。」と「できるけど、したくない」です。

 例えば、いきなり「医者になれ!」と言われたとします。自分もなろうと思ったこともないので、どの位の努力が必要かわかりません。皆さんも、おそらく即答で「無理!」と答える人がほとんどだと思います。これが、「したいけど、できないこと」の一例です。

 でも、「元気に挨拶する」は、誰でも今すぐできることですよね。実際は、「恥ずかしい」「面倒くさい」「格好悪い」など理由をつけてやらない人が多い。これが「できるけど、したくないこと」の一例です。

 挨拶に限らず、「できるけど、したくない」ことは、皆さんの周囲にも結構あると思います。例えば、「お年寄りが道路で困っていたとします。声をかけた方がよいか、無視した方がよいか」。答えは決まっていますが、答えでない方の行動をとる人が多いのではないでしょうか。しかし、先月、道路で転倒したお年寄りを丁寧に助けた鳩高生がいました。立派な行動です。

 何事も、「できる」「できない」ではなく、「やるか」「やらないか」です。

 私も、4月から2つのことを新たに始めました。

 一つは、バスの運転手さんへの挨拶です。私は電車とバスで学校に来ます。ここ11年間自転車通勤だったので、久しぶりです。バスを降りるときに「ありがとうごございました」「お世話になりました」とお礼を言うようにしました。今までは、心の中では言っていたのですが、声に出すようにしています。どの運転手さんも笑顔になります。あと一つは、鳩ヶ谷高校のホームページに校長日誌というコーナーがあり、掲載を先週から始めました。

 今まで面倒臭がって敬遠していたことを。まずは何か一つ、改めてみましょう。

 鳩高生の皆さん。元気に挨拶していますか。他人に優しくしていますか。夢を諦めていませんか。志高く。


 

体育祭

 今日は、鳩ヶ谷高等学校第27回体育祭でした。グラウンドに若い力がみなぎりました。PTA会長さんをはじめ、保護者の皆様約100名の方々が来校され、躍動する鳩高生の姿をご覧いただきました。私も、障害物リレーの教員チームの名誉アンカーとして参加し、怪我もなく無事完走できました。

 開会の挨拶では、「大きな声を出そう。人間の体は、大きな声を出すことは、脳を刺激し、集中力が高まる。体育祭はスポーツの力の発揮の場であるとともに、チームワークを確認できる良い機会である」と話しました。生徒諸君は、大きな声で競技し、大きな声で応援し、若さが弾けていました。

 元気よく走る生徒の姿を見て、映画「炎のランナー」(1981年・英国)を思い出しました。1924年のパリオリンピックを背景に1920年代の英国の若者の葛藤を描いた作品で、アカデミー賞作品賞を受賞した名作です。私は、子供のころから映画が大好きです。JR浦和駅西口駅前にあった浦和オリンピア劇場(現在の伊勢丹の付近にありました)で3本立ての洋画を見るのが楽しみでした。

 鳩高生には、高校時代にしかできないスポーツや文化活動をとおして青春を謳歌してもらいたいと思っています。

EUがあなたの学校にやってくる・その後

 今日の鳩ヶ谷高校は、体育祭予行で、グラウンド一杯に生徒が溢れています。

 さて、このHP学校行事でもご案内していますが、5月13日(火)に欧州連合(EU)駐日代表部のメルヴィ・カーロス一等書記官に御来校いただきました。駐日欧州連合代表部が行っている「EUがあなたの学校にやってくる」という企画があり、応募したところ、鳩ヶ谷高校も選ばれました。

 メルヴィ・カーロス一等書記官は、フィンランド共和国出身の女性外交官です。大学ではロシア語と英語を勉強され、最初は、フィンランド政府の税関の仕事をされたそうです。その後、EUで農産物貿易に関するお仕事をされました。日本のことも大変詳しい方です。

 お迎えするにあたり、埼玉県庁の県民生活部国際課の御支援をいただき、EU旗と卓上旗を借用し、プロトコール(国際儀礼)についても御教示いただきました。当日は、家庭科部の生徒手づくりのクッキーをお土産にお持ち帰りいただきました。翌日、私の拙い英文の御礼メールをお送りしました。メルヴィ・カーロス一等書記官からは、鳩高生への感謝と今後の活躍の期待、家庭科部の生徒への御礼のメールをいただきました。多くの方々に支えられた国際交流でした。
 1989年のマルタ会談で東西冷戦終結が宣言されて25年がたちましたが、世界中で紛争が絶えません。小さな国際親善を積み重ねることの大切さを実感しています。

  

農業クラブ総会

 はじめの一歩を踏み出してみると、昨日は、ちょっとした充実感がありました。皆さんもちょっと一歩踏み出して、プチ充実感を実感してみてください。

 校長日誌の副題ですが、私の好きな作家の一人である五木寛之の随筆への敬意をこめて記しました。学生時代、『青春の門』、『海峡物語』などを愛読していました。特に『流されゆく日々』の多面的多角的な視点はとても好きでした。いろいろな角度から鳩ヶ谷高校の情報や思いを伝えられたらと思っています。

 今日は、本日開催した農業クラブ総会での挨拶を紹介します。

 私の鳩高生活は、1年生と同じ2か月です。でも、今までと何かが違います。鳩ヶ谷高校は教員となって5校目の勤務校になりますが、農業系の学科のある高校に勤務したのは初めてです。

 先日、放課後に3年生の生徒が農園の整備をしていました。収穫していたルッコラと水菜をいただき、さっそく自宅でおいしくいただきました。鳩ヶ谷高校の魅力を実食(実感)した瞬間でした。また、5月24日に川口駅東口公共広場(キュポ・ラ広場)で開催された「第17回春の園芸フェスタ」では、2年生の生徒からコサージュの作り方を教わりました。農業学習の良い点は、「体験」「発見」することにより、感動体験できることです。これは他の教科では味わえない体験です。

 農業クラブの目標は、①科学性 ②社会性 ③指導性 の3点です。私は、4月の始業式で、「「勉強」という言葉は、江戸時代には「頑張る」「努力する」という意味で、学習するという意味はありませんでした」という話をしました。人間は、「頑張る」「努力する」ことを面倒くさがります。だから勉強が嫌いなのです。でも、人間は、本来「学習」することは好きな生き物です。学習機能が備わっています。

 農業クラブは、「農業学習」で得たものを確実に自分のものとする活動です。世の中で役に立つ三大要素である ①科学性 ②社会性 ③指導性 をしっかり身につけましょう。

 総会の後、意見発表協議会(県大会)出場者発表会では、3名の生徒が発表してくれました。いずれも自分の体験にもとづいた実践的な素晴らしい内容でした。さらに、環境調査「たんぽぽ」についての調査依頼(たんぽぽの在来種と外来種の違いがよくわかりました)、農業クラブ役員紹介がありました。県大会に出場する生徒諸君の健闘を期待しています。

 

 

 

はじめの一歩

 6月2日の全校集会に向けて、校長講話の内容をいろいろと考えていました。ある本を読んでいたら、ドイツの詩人ゲーテのことばが紹介されていました。

 人生は全て二つのことから成り立っている。

 したいけど、できない。

 できるけど、したくない。

 Das ganze Leben besteht aus

 Wollen und Nicht-Vollbringen,

 Vollbringen und Nicht-Wollen.

                                                   

 何事も、「できる」「できない」ではなく、「やるか」「やらないか」ということです。鳩ヶ谷高等学校に着任して57日目になりましたが、校長日誌「流されゆく日々」を始めます。パソコンの苦手な私ですが、まずは一歩踏み出してみます。