校長日誌

【校長日誌】卒業おめでとう

 

 今日は、鳩ヶ谷高等学校第25回卒業証書授与式でした。校長として初めての卒業式でしたが、生徒一人一人の学校に対する想いがとても強く感じられた素晴らしい卒業式でした。檀上から見える卒業式の雰囲気は、今まで経験したことのないものでした。在校生代表の送辞は先輩に対する想いの伝わる温かい文章でしたし、卒業生代表の答辞は、高校時代の思い出が卒業生一人一人の胸に甦る素晴らしい文章で、私も感極まりました。
 今回は、私が式辞で読んだ内容を紹介します。

 今、卒業証書を授与いたしました277名の卒業生の皆さん、卒業おめでとうございます。心からお祝い申し上げます。
本校の卒業生は皆さんを加え、6653名となりました。
 皆さんは、入学以来3年間、しっかりと高校生活を送ってきました。特にこの1年間、鳩ヶ谷高校の最上級生として、日々の授業をはじめ、体育祭、鳩高祭での圧倒的な団結力、園芸デザイン科の農業クラブや学科行事、情報処理科の検定試験や学科行事、進路実現に向けた面接練習など、さまざまな場面で真剣に、時には楽しく取り組んでいた姿が浮かんできます。
 皆さんは、本日、鳩ヶ谷高校からそれぞれの夢と希望を持って、新たな道へ歩み出していきます。皆さんが歩み出す今日の社会は、混沌とした国際情勢、不安定な経済状況、4年前の東日本大震災からの険しい復興への道のりなど、課題が山積しています。このような時だからこそ、一人一人の「生きる希望」がとても大切です。
 そこで、皆さん誰でも知っている「アンパンマン」を題材にして「生きる希望」について考えてみたいと思います。アンパンマンは今から42年前に登場し、現在では、子供たちに絶大な人気を誇る国民的キャラクターです。小さな子供たちに圧倒的な人気のアンパンマンですが、5歳ぐらいになると、別のことに興味を持ち始め、見向きもしなくなってしまいます。でも、なぜか今、皆さんの頭の中には、「アンパンマンのマーチ」が流れていることでしょう。4年前の東日本大震災の際には、子供たちだけでなく、大人たちまでも、FM放送から流れるこの曲に勇気づけられました。実は、私もその一人でした。
 
作者のやなせたかし(1919~2013)さんは、生前、「小さな子供向けの作品は、非常に不思議なことに、お話の本当の部分がなぜかわかってしまうのです」と言っています。やなせさんは、大人にも通じる普遍的な物語としてアンパンマンを描いていました。それは、どんな時代でも常に「生きる希望」を持つということでした。
 歌詞の中に「そうだ、嬉しいんだ 生きる喜び たとえ胸の傷が痛んでも」とあります。あなたは、鳩ヶ谷高校で「生きる喜び」を感じられましたか。まだ、感じられなかった人は、これから「生きる喜び」を感じる時が必ずやってきます。

 歌詞の中に「何のために生まれて、何をして生きるのか。答えられないなんて、そんなのはいやだ。」とあります。あなたは、鳩ヶ谷高校で、「何をして生きるのか」その答えが見つかりましたか。まだ、見つかっていない人は、困難に出会っても、「何をして生きるのか」が答えられる時が必ずやってきます。

 歌詞の中に「忘れないで夢を、こぼさないで涙。だから君は飛ぶんだ、どこまでも。」とあります。あなたは、鳩ヶ谷高校で「夢」を忘れませんでしたか。忘れかけた人は、これから「新しい夢」を作り出し、愛と勇気が友達だとわかる時が必ずやってきます。

 大人になると、いくつもの困難に出会うことがあると思います。そのような時、皆さん思い出すのです。思い出がたくさん詰まったこの鳩ヶ谷高校を。そして、「生きる希望」の炎を燃やし続けましょう。

 最後になりましたが、卒業生の保護者の皆様、お子様のご卒業、心からお祝い申し上げます。皆様には、PTA会員として、本校の教育活動に対し、温かい御理解とお力添えをいただきましたことに厚く御礼申し上げます。

 卒業生の皆さんの、これからの大きな活躍を心から願いまして、式辞といたします。


【校長日誌】吉田稔麿・走れメロス

  

 今日は、入学許可候補者の発表がありました。願いがかなった方もかなわなかった方も、次のステップに向けて成長してもらいたいと思います。
 私は、山口県萩市には4回行ったことがあります。最後に行ったのは20
年程前です。その時、吉田松陰の生誕地に行く途中で、「吉田稔麿誕生地」という石碑を見つけました。私は、京都の旅籠池田屋跡に行ったことがあります。昔はパチンコ店でしたが、現在は居酒屋チェーンの居酒屋になっており、店名はズバリ「池田屋」です。雑然とした街中になるのとは対照的に、生誕地は閑静な住宅街にありました。ここで稔麿は、少年時代を過ごし、松下村塾で吉田松陰に学び、江戸や京都で活躍する。140余年前に、吉田稔麿を温かく見守っていただろう山河が、同じ姿で自分を迎えてくれていることに、自然は雄大だと当時も感じました。

 1864(元治元)年6月5日、吉田稔麿は池田屋の会合を知って、たまたま参加しただけでした。彼は一太刀あびたが、その大事を仲間に知らせるために、長州藩邸(今の京都ホテルオークラのあたり)に駆け込みました。江戸時代、藩邸は幕府権力の及ばない、今でいう大使館のようなところで、ここに逃げれば安全でした。しかし、彼は、事件を藩士に告げた後、再び死闘が繰り広げられている池田屋に向かいました。自ら仲間を助けるために、進んで修羅場へ駆け込んでいった吉田稔麿の行動を考えると、そこに一つの生き方があると思います。

 作家の司馬遼太郎は吉田稔麿の生き方を「太宰治の短編に『走れメロス』というのがあるが、稔麿の最後はメロスに似ている。」(『街道をゆく』)と記しています。

 歴史は、名もない人々の日常の積み重ねであり、人生は、個人一人一人の日常の積み重ねであると思います。何も偉業を成すことが、人生の成功であるとは思いません。自分が生きていた証として、さわやかな記憶を一人でも多くの人に持ってもらえれば、これほど素晴らしい人生はないと思います。

【校長日誌】ある人生・吉田稔麿

 幕末の長州藩に、吉田稔麿(18411864)という人物がいました。この人物を知っている方は、よほどの歴史好きです。歴史の教科書のどこを開いても、この人物は登場しません。吉田松陰(18301859)、高杉晋作(18391867)、桂小五郎(のちの木戸孝允)(18331877)などの陰に隠れ、明治維新を見ることなく消えていった無数の志士たちの一人です。昨日、NHK大河ドラマ「花燃ゆ」を見ていたら、吉田稔麿が登場していたので、思わず筆をとりました。2回にわたって書きたいと思います。

 幕末という時代は、当時の若者たちに過酷な試練を迫りました。江戸幕府の権威が弱まり、国論は尊王攘夷運動(天皇尊崇と外国排斥思想)や公武合体運動(朝廷と幕府の提携による政局安定策)などに分裂し、ことに京都においては治安は著しく乱れていました。このような混乱の時代に生きた若者たちに、時代は無為に生きることを許しませんでした。こんな時代に吉田稔麿は生きていたのです。

 彼は、新選組が京都三条河原町の旅籠池田屋に集合した尊王攘夷派を急襲した池田屋事件(1864)の時、沖田総司と闘って亡くなっています。子母沢寛の小説『新選組始末記』には、「何しろ天才的な剣法者沖田に立ち向かっては、殆ど子供扱いにされて、斃されて終わった」と書かれています。

【校長日誌】クエストカップ2015全国大会に出場!

 去る2月21日(土)に本校でも実践しているクエストエデュケーションの全国大会であるクエストカップ2015全国大会が開催され、鳩ヶ谷高等学校からも1チームが出場しました。私は、6月の授業、1月の校内プレゼンテーション大会、今回の全国大会と見学しましたが、生徒の成長力に驚きました。目標に向かって成長する若い姿は、無限の可能性を秘めています。

 全国大会は、法政大学市ヶ谷キャンパスが会場でした。全国から選抜された公立高校、私立高校、私立中高一貫校が集い、企業のミッションに基づきプレゼンテーションを行いました。審査は、該当企業の方が直接行います。鳩ヶ谷高等学校は、スカパーJSAT株式会社のミッション「世界初!キミたちの’原体験’を生かした新しい宇宙ビジネスを提案せよ!」に基づき、「新感覚!宇宙ゲーム」に宇宙ゴミ消滅隊のチーム名で出場しました。宇宙空間に漂うロケットなどの残骸である宇宙ゴミ(スペースデブリ)をスカパーJSAT株式会社が運用している人工衛星を活用してゲーム感覚で消滅させる壮大な企画です。セカンドステージには進出できませんでしたが、素晴らしい出来映えでした。生徒諸君とともに、指導した先生方にも感謝します。

 いよいよ、埼玉県も県公立高校入学者選抜が始まります。3月2日が学力検査です。受検生には、最後の最後まで、自分自身を信じて頑張ってもらいたいです。


【校長日誌】今日は大晦日です

 今日と明日、埼玉県公立高等学校入学者選抜の入学願書出願日です。いよいよ県公立高校入試がスタートします。鳩ヶ谷高校を目指す受検生だけでなく、全ての受検生が最後まであきらめずに頑張ってくれることを祈っています。

 今、手元に高校日本史の教科書である『詳説日本史B』(山川出版社)があります。そこに、「1872(明治5)12月には、西洋諸国の例にならって暦法を改め、旧暦(太陰太陽暦)を廃して太陽暦を採用し、1日を24時間とし、のちには日曜日を休日とするなど、長いあいだの行事や慣習が改められた。(旧暦による明治5年12月3日を、太陽暦による明治6年1月1日とした。)」と記載されています。

 実は、明日、2月19日は旧正月です。旧暦の元日です。太陰暦では、月の最後の日は三十日(みそか)(または二十九日)であったことから、「みそか」は月末を表す言葉となり、1年最後の晦日なので「大晦日」と言われています。皆さんも、今年の元日に志を立てたと思います。もし、今年の志が挫折気味であったとしたら、明日の旧正月に新たに志を立てて頑張ってみましょう。希望をしっかりと持っていれば、人生、いくらでも立て直しができます!

【校長日誌】園芸デザイン科卒業作品展

 昨日、川口市立グリーンセンターで開催されている園芸デザイン科の卒業作品展に行ってきました。センター内の緑のアトリエ館を借り切って、「花と緑の園芸作品展」を兼ねて開催しています。25年前の第1回は川口リリアで行いましたが、第2回以降はグリーンセンターで開催しています。私も初めて見ましたが、昨年から準備を進めてきた3年生にとっては、高校生活の集大成であり、力作ばかりでした。

 園芸デザイン科は、本校開校の昭和63(1988)年に全国で初めて設置された農業系の専門学科であり、生活空間や都市環境を豊かで住み良い快適な空間に創造するための知識と技術を学んでいます。1年生で園芸やデザインの基礎を学び、2・3年生では。フラワーデザイン・グリーンデザイン・ガーデンデザインの3専攻に分かれ専門的に学習しています。「川口市はたちの集い」や「商工まつり」など地域のイベントにも積極的に参加し、園芸デザイン科の取組を多くの方々に紹介しています。今後も園芸デザイン科のパイオニアとして、さらなる高みを目指していきます。

 この卒業作品展は、本日まで開催しています。個性豊かな第25期生の努力と成果の結晶である作品を御覧いただければ幸いです。

留学生が先生

 今日の鳩ヶ谷高校は、今朝積雪が予想されていたので2時間遅れの始業です。私も出勤途中に路面が凍結していたため、自転車を運転しながらヒヤリとしてしましました。校内でも日陰が路面凍結しており、融雪剤を散布して生徒の登校に備えました。事故もなく登校しています。

 昨日は、1年生の「総合的な学習の時間」において、恒例の「留学生が先生」を行いました。公益財団法人国際理解支援協会の御協力をいただき、雪の中、今年度も12名の外国人留学生に来校してもらいました。アジアからは中国・韓国・スリランカ・キルギス、ヨーロッパからはスペイン、アフリカからはエジプト、南アメリカからはブラジルとワールドワイドな鳩ヶ谷高校になりました。最初に、私は留学生の皆さんに緊張しながら挨拶しましたが、皆さん日本語が上手で逆に恐縮してしましました。

 その後、鳩高生よりも少し先輩の留学生の皆さんに8教室にわかれていただき、「日本を留学先に選んだ理由」「そのために努力したこと」「今学んでいる学問」「それ生かした将来の夢」「日本に来て驚いたこと」などを熱く語っていただきました。生徒にとってはワクワクドキドキの時間だったようです。

 御協力をいただいた公益財団法人国際理解支援協会に改めで厚く御礼申し上げます。

蜘蛛の糸

 芥川龍之介の短編小説「蜘蛛の糸」の話を読んだことありますか。6ページほどの短編なので朝読書の10分間で読み終えてしまう内容です。1年生は「国語総合」で、芥川龍之介の『羅生門』を勉強したので、知っている人も多いと思います。彼は1927(昭和2)年に35歳で「将来に対するぼんやりとした不安」から自殺をしてしまいます。

 「蜘蛛の糸」の話の概要です。ある朝、極楽にいるお釈迦様は、散歩をしていて、蓮の池をのぞき込みました。そこは地獄に通じていました。カンダタという極悪非道の悪人が、生前の償いで地獄に落とされていたそうです。極楽でそれを見たお釈迦様が、カンダタも人生の中でただ一つだけ良いことをしたのを思い出しました。踏み殺そうとした蜘蛛を見逃してやったのです。お釈迦様は、その行いに報いるため、カンダタを地獄から救い出してやろうと蜘蛛の糸を垂らします。それに気付いたカンダタは、天井に向かい必死にその細い糸を昇りますが、中ほどまで昇ったところで、他の罪人たちも気が付き、次から次に昇ってきたそうです。カンダタは罪人たちに向かって「下りろ」と叫びます。その途端、蜘蛛の糸がカンダタのぶら下がっているところからぷつりと切れました。お釈迦様はカンダタの無慈悲な心を悲しんだそうです。極楽はお昼になっていました。

 蜘蛛一匹を助けたことでお釈迦様の目にとまったのであれば、逆に、蚊や蝿、蟻やゴキブリなどを何らかの殺生(生き物を殺すこと)をしたことのある私たちの日常は、地獄からのスタートかもしれません。人間は、善いことを行いながら知らず知らずに悪いことも行い、悪いことを行いながら、知らず知らずに善い行いもする。でも、意識して、善い行いを積み重ねましょう。善行のススメです。

 あなたの目の前にもあなたの蜘蛛の糸は存在します。自分の経験でも、不思議と他人の蜘蛛の糸は見える気がします。そして、目の前に垂れた自分の蜘蛛の糸に気付かない人が何と多いことか。「世の中が悪い」などと愚痴を言って、定員オーバーの他人の蜘蛛に糸をうらやんでも何も始まりません。必ず垂れている自分の糸を探し求めなさいというススメです。

 では、自分の糸を探すためにはどうしたらよいか。まずは、「情けは人のため為らず」です。どのような意味か考えましょう。他人に対して情けをかけておけば、巡り巡っていつかは自分に良い報いが帰ってくるという意味で使います。「自己責任」という言葉がとびかう殺伐とした現代では、「甘い」と言われるかもしれません。大人も45%が勘違いしています。45%の大人は自分の蜘蛛の糸に気が付きません。思い込みは禁物です。何事も確認せよというススメです。

♪あんたがたどこさ

 私は、通勤は電車とバスを利用しています。先日、日も暮れ、冷たい雨が降っていた日の退勤途中、学校近くのバス停で合唱同好会の二人の女子生徒と行き会いました。一人の女子生徒がバス通学、もう一人の女子生徒は自転車通学です。バスが来るまで、自転車の女子生徒は雨の中、雨カッパを着たまま寄り添い、合唱コンクールの発表曲「あんたがさどこさ」の練習をしていました。
♪ あんたがたどこさ
  肥後さ 肥後どこさ
  熊本さ 熊本どこさ 船場(せんば)さ
  船場山には狸がおってさ
  それを猟師が鉄砲で撃ってさ
  煮てさ、焼いてさ、食ってさ
  それを木の葉でちょいと隠(かぶ)せ

 二人でハーモニーの確認しながら、何回も歌います。10分ほどしてバスが来ました。バス停には、5人ほどの人がバスを待っていましたが、冷たい雨の中、ほのぼのとした雰囲気に包まれました。バス通学の女子生徒は、JR蕨駅に到着すると、しっかりした足どりで駅に向かいました。

 ふだん、目立たない、おとなしい生徒です。とても、温かい気持ちになりました。このような子供たちが、友情を育み、しっかりと自信をつけさせてあげられる学校にしたいと思いました。

クエストエデュケーション

 今日、明日は、大学入試センター試験です。受験する鳩ヶ谷高校の生徒には、自分の実力をしっかりと発揮してもらいたいと思います。

 1月15日()に情報処理科3年生によるクエストエデュケーション発表会を行いました。

 クエストエデュケーションプログラムとは、株式会社教育と探究社による現実社会と連動しながら「生きる力」を育む学習プログラムです。実在の企業や先人を題材に、リアルな学習テーマに取り組みながら、自ら感じ、考え、表現していく学習スタイルを実践しています。チームでの活動をとおして、社会や経済、働くことの意義についての理解を深め、自律的な学習姿勢と豊かな創造性を育むことを目指しています。本校では、埼玉県教育委員会の支援を受けて実践しています。当日は、教育と探究社と株式会社HISの方に御来校いただき、指導講評をいただきました。

 経済協力開発機構(OECD)の「生徒の学習到達度調査」(PISA)を担当しているアンドレアス・シュライヒャーOECD教育・スキル局次長(事務総長教育政策特別顧問)は「知識はグーグル(のような検索サイト)の中にある。知識を使って何ができるかが、これからは重要だ」と述べています。これからの学校教育の指針となる言葉だと思います。私は、6月にもこの授業を視察しましたが、当日の発表では、大きく成長した生徒諸君のプレゼンテーションを聞くことができ感動しました。来週の1月22日にも2回目の発表会があり、とても楽しみです。