校長日誌

夏越しの祓・『徒然草』の思い出

 今日、6月30日で平成26年の前半が終わります。毎年、6月30日になると、吉田兼好の『徒然草』を思い出します。『徒然草』は、清少納言の『枕草子』、鴨長明の『方丈記』とともに日本三大随筆と言われています。高校生の時、古典で『徒然草』の授業の時に、夏越しの祓(なごしのはらえ)の説明がありました。大晦日と同じように、穢れを取り払うために除災行事があるのを初めて知りました。6月30日に茅の輪を確認するために神社に行ったのを覚えています。なぜか、授業の記憶は、先生の余談を覚えているものですね。

『徒然草』第19段では、折々の季節の移り変わりの美しさを説明するとともに、ちょっとした愚痴も記しています。

原文:「折節の移り変るこそ、ものごとにあはれなれ。(中略)六月の此、あやしき家に夕顔の白く見えて、蚊遣火ふすぶるも、あはれなり。六月祓、またをかし。七夕祭るこそなまめかしけれ。(中略)言ひつづくれば、みな源氏物語・枕草子などにこと古りにたれど、同じ事、また、いまさらに言はじとにもあらず。おぼしき事言はぬは腹ふくるるわざなれば、筆にまかせつつ、あぢきなきすさびにて、かつ破り捨つべきものなれば、人の見るべきにもあらず。(後略)」

 現代語訳:「季節の移り変わりにこそ、風情がある。(中略)貧しき家の夕顔は白く映え、蚊を追い払おうとする煙にも風情がある。六月祓いの儀式もまた興味深い。七夕祭りはあでやかで美しい。(中略)言い続けると、すでに『源氏物語』や『枕草子』で言い古されたことばかり。同じ事を今さらだけど、思ったことを言わないで腹にため込むのは良くないので、筆に任せて書きつつも、どうせ筆まかせのなぐさみで、すぐに破り捨ててしまうもの、これは人に見せるものではないから別にいいのだ。(後略)。」と書いています。 

現在は太陽暦を使用していますが、当時は太陰暦です。旧暦では、今日はまだ6月4日です。ちなみに、今年は7月26()が旧暦の6月30日に当たります。
 今日で、今年も半分が終わります。学校は4月から始まりましたが、1/4が終わります。新年に立てた目標や願いごとは順調ですか。今ひとつ順調でない方は、仕切り直して、気持ちを新たに7月を迎えたいものです。

本多静六博士=元気にあいさつ+職業の道楽化

 埼玉ゆかりの三偉人は、塙保己一(はなわほきいち:17461821:江戸時代に目が不自由であったが国学者として活躍)、渋沢栄一(しぶさわえいいち:18401931:日本の資本主義の基礎を築いた大実業家)、荻野吟子(おぎのぎんこ:18511913:日本で最初の公認の女性医師)と言われています。

 ところで、本多静六(ほんだせいろく)博士をご存じですか。本多静六博士は、慶応2(1866)年に現在の埼玉県久喜市(旧菖蒲町)に生まれ、ドイツに留学し、東京帝国大学で教鞭をとり、日本最初の林学博士として近代林学の基礎を築くとともに、明治神宮の森や東京都水源林などの森林の造成、日比谷公園(東京都)や大宮公園(埼玉県)をはじめとする全国各地の公園の設計など様々な事業を行い、近代日本の発展に大きく貢献しました。

 また、私財を投じて取得した秩父地方の山林2600ヘクタール余りについて、奨学金事業創設のため、昭和5(1930)年に埼玉県に寄付しました。この森林から生ずる収益をもとに「本多静六博士奨学金」が設けられ、昭和29(1954)年以降現在までに2000人を超える学生に奨学金が貸与されています。

 本多静六博士曰く、努力が報われる人・報われない人、運がいい人・悪い人・・・ここには一つの共通点があるとのことです。人生の基本原則「当たり前」のことが、きちんとできているか、いないかだけの差だそうです。例えば、元気にあいさつすること。どんなに知識豊富で学校で優秀であっても、元気にあいさつできない人は、自分が思い描くように前に進めません。

 本多静六博士は、元気にあいさつできることは「当たり前」のこととして、人生の処世術をまとめています。それによると、「人生の最大幸福はその職業の道楽化にある。富も名誉も美衣美食も、職業道楽の愉快さには遠く及ばない。職業の道楽化とは、学者のいう職業の芸術化、趣味化、遊戯化、スポーツ化もしくは享楽化であって、私はこれを手っ取り早く道楽化と称する」と記しています(『我が処世の秘訣』(三笠書房 1985年)。職業を道楽化する方法はただ一つ努力にあると言っています。「あらゆる芸術と同じく、はじめのうちは、多少の苦しみはあるが、すべての喚起も幸福も努力をとおして初めて得られることを自覚し、自分の職業を天職と確信し、迷わず専心努力しなさい」と博士は説いています。
 今日でも色あせない生き方だと思います。

開校記念日・鳩ヶ谷高校誕生記

 本日は、鳩ヶ谷高等学校の開校記念日で、生徒は休業日ですが、部活動の生徒は元気に登校しています。掲揚塔には、校旗が、国旗、県旗とともにたなびいています。鳩ヶ谷高等学校の創立までの経緯を調べてみましたので、ご紹介します。

 鳩ヶ谷に中等教育の学校をという地元の願いは、昭和15(1940)年からの念願だったそうです。しかし、本校の誘致運動が具体化したのは、昭和49(1974)年9月でした。以来15年間の長い年月の間、鳩ヶ谷市長(当時)を先頭に、鳩ヶ谷市民(当時)の皆様の粘り強い運動が実を結び、大きな期待のもと、昭和63(1988)年4月に本校は開校しました。

 人口約6万人の鳩ヶ谷市(当時)には、「高校がない、駅がない」ことに対する不便さが強くありました。本校の開校と、その後の埼玉高速鉄道の開通による駅の開設により、鳩ヶ谷地域は大きく発展しました。平成231011日には川口市と鳩ヶ谷市が合併し、新「川口市」が誕生しました。

 本校の施設面では、従来の県立高校の校舎と違って一棟式で、太陽の光を享受できる構造になっています。27年たった現在でも、斬新なデザインだと思います。特に、正門を入った正面にある鳩をデザインしたステンドグラスは、開校当初、白い校舎とともに地元のシンボルとして脚光をあびたそうです。現在でもその輝きは失われていません。

 本校初代校長の島田宏二校長は、第1回入学式の式辞で、「生徒たちは一人ひとりが自分で学ぶ意識を自覚した高校生活を過ごしてほしい。教職員も三学科併置の特色ある学校づくりを目指して努力していく」と述べられました。また、新入生代表は、「今の感激を忘れずに、自分達の手で協力し合い鳩ヶ谷高校の伝統を一つ一つつくりあげ、悔いのない高校生活をおくりたい」と決意を述べています。

 27年目のバトンを受け継いだ私たち教職員・生徒は、開校当初の皆様の決意をしっかりと引き継いでまいります。


自分の番 いのちのバトン

 今から15年位前、先輩の先生から素晴らしい詩を紹介されました。詩人であり、書家でもある 相田みつお(19241991) さんの「自分の番 いのちのバトン」という詩です。私は、地理歴史科・公民科のうち日本史や世界史を中心に多くの高校生に教えてきました。この詩に出会った時、歴史教育は、いつの時代でもかけがえのない尊い命のバトンの大切さを伝えることだと思いました。

 父と母で二人

 父と母の両親で四人

 そのまた両親で八人

 こうしてかぞえてゆくと

 十代前で千二十四人

 二十代前では・・・?

 何と百万人を越すんです

 過去無量の

 命のバトンを受けついで

 いまここに

 自分の番を生きている

 それがあなたの命です

 それがわたしの

 いのちです

        みつを

 連綿と続く命のバトンが受け継がれてきたおかげで、今の自分は存在しているのです。ご先祖様の一人でも欠けていればバトンは途切れ、今の自分は存在していないのです。自分の命の尊さに気付けば、他人にも優しくなれるはずです。人間は自己中心的な存在です。もう一度、自分自身を見つめ直してもらいたいと思います。そして、自問してみましょう。「他人に優しくしていますか」
 この詩は、『いのちのバトン-初めて出会う相田みつをのことば』(角川文庫 2005年)に所収されています。その他、心を揺さぶる詩がたくさんありますので、ご一読ください。 

 

追い求めること

 今年も鳩ヶ谷高校の部活動は元気です。剣道部、女子ソフトテニス部、陸上部が県大会に出場しています。生徒諸君の奮闘とともに、顧問の先生方に感謝しています。3年生は引退の時期になっていますが、その他の運動部も文化部も頑張っています。

 JR北浦和駅前にある県立近代美術館では、第64回埼玉県美術展覧会(県展)が開催されています(今日が最終日です)。鳩ヶ谷高校写真部の2年生の生徒の作品と今春の卒業生の作品が展示されているので鑑賞に行きました。2年生の生徒の作品は「文化祭翌朝」という6枚の組写真です。床にころがる空き缶、放置された立て看板、空虚な教室の雰囲気などが白黒写真から伝わります。祭りの後の寂しさから活気があったであろう文化祭の賑やかさも感じさせる作品でした。卒業生の作品「回想」は、白黒のコントラスト鮮やかな作品で、埼玉新聞社賞を受賞した力作でした。彫刻の部門では、今年80歳になる高校時代の恩師の作品も展示してありました。先日の同窓会でも「作品を創るのは大変だけど、これが楽しいのだ」とお話しされていました。
 人間は、何かを追い求めることにより、自分の価値を見いだします。高校生という青春時代、スポーツでも文化活動でもよいので、今の時期にしかできないことを、何か一つ追い求めてもらいたいと思います。現在、ワールドカップが開催されていますが、出場している日本人選手のプロフィールを見ると、夢を追い求めることの素晴らしさを改めて教えてくれます。

 

合唱同好会

 14日、さいたま市文化センターで第59回埼玉県合唱祭が行われ、鳩ヶ谷高等学校合唱同好会も出場しました。埼玉県合唱祭は、中学生、高校生、大学、社会人の256団体が参加する国内でも最大規模の合唱祭です。

 鳩ヶ谷高等学校合唱同好会20名の生徒が、「Ave Maria」(アルカデルト作曲)と「ハナミズキ」(一青 窈作詞:マシコタツロウ作曲・今村 康編曲)の2曲を熱唱しました。私は、1階15列目のセンターで、じっくりと鳩高生20名の合唱を聞きました。客席から、生徒一人一人が思いを込め、表現力豊かに熱唱している姿を間近で見ることができました。歌は、聴く者に力を与えてくれます。

 私は、2曲を聴いて、「Ave Maria」からは清らかさ、「ハナミズキ」からは生きることの素晴らしさを感じました。「Ave Maria」は、16世紀の作曲家アルカデルトのシャンソンを元に、19世紀フランスで改編された賛美歌だそうです。「ハナミズキ」の歌詞は、一青窈さんが、アメリカ同時多発テロ(2001911)が起こった時、ニューヨークにいた友人からのメールをきっかけに、一週間ほどでこの歌詞を書き上げたそうです。一人一人が自分の好きな人のずっと先の人の幸せを願うことで、怒りの連鎖は止められると願ったそうです。

 鳩ヶ谷高等学校合唱同好会の歌声が、会場に爽やかさを運びました。歌の魅力を改めて感じました。


かもしれない運転

 昨日、本校で交通安全講話を開催しました。川口市役所交通安全対策課と武南警察署交通課の方に御来校いただき、生徒に講話をしていただきました。埼玉県では、今年度の交通死亡事故者数が67名であり、1日あたり76件の交通事故が発生し、毎日100名程度が負傷されているとのことでした。

 交通事故防止のためには、

①「大丈夫だろう」ではなく、「車が来るかもしれない」という認識の「かもしれない運転」

②自動車には死角があることをしっかりと認識する「車の特性を知る」

③自分中心ではなく相手の立場になって運転する「思いやり運転」
の3点を強調されていました。交通事故は誰もが被害者、加害者になる可能性があります。一人一人が交通マナーをしっかりと守り、余裕を持った行動をしてもらいたいと思います。

くすぶる力

 最近、テレビにもよく出演している明治大学文学部の 齋藤 孝 教授の『くすぶる力』(2013年・幻冬舎)を読みました。齋藤教授は『声に出して読みたい日本語』(2001年・草思社)が大ベストセラーになり、世間でも著名となり、大学の他、テレビのコメンテーターなどでも活躍さてている多忙な方です。『くすぶる力』の本の帯に「僕も20年くらい、くすぶっていました。決してムダな時間ではなかった」というコピーに惹かれました。

 よく、「人生は挫折を知らない奴はだめだ」と言う方がいます。そのようにおっしゃる方は、たいがい成功している方が多いようです。人生、挫折をしないで過ごせるに越したことはありませんが、それができないのが、また人生です。

 本では、くすぶっている人とは、自分には才能があるははずなのに世間は認めてくれない、正当に評価してもらっていない、自分が思い描く自分像と現実にギャップがある人々と定義しています。こうした苛立ち、焦燥感からの脱却についての指南書です。

 私は歴史が好きで、歴史上の人物を調べたりする時がありますが、ある意味、歴史はくすぶりの極致です。先日、校内で日本史「壬申の乱」の授業を見ましたが、大海人皇子(おおあまのおうじ:のちの天武天皇)もくすぶっていました。慶応義塾大学の創始者で、1万円札の肖像画である福沢諭吉も「門閥制度は親の仇で御座る」(『福翁自伝』)と、くすぶっていました。

 齋藤教授は、「素直で貪欲な態度で人に向かう」「仕事の中で疲れない一点をみつける」など具体的なアドバイスをしています。「失敗は準備不足と経験不足で起きる」とも言っています。準備して、チャレンジして、経験を増やして、また準備してチャレンジすることの大切さを説いています。「凡事徹底」の大切さを改めて感じました。

卒業生の力

 鳩ヶ谷高校は、昨日から三者面談が始まり、今日も授業日です。

 今日の3時限目に3年生対象の「卒業生を囲む会」が開催されました。鳩ヶ谷高校を卒業して、大学、短期大学、専門学校、社会人として活躍している卒業生42名に来校してもらい、15会場に分かれて3年生に語りかけてもらいました。どの会場でも、3年生は、卒業生の皆さんの経験にもとづいた具体的な話に対し熱心に耳を傾けていました。
 鳩ヶ谷高校は、平成3年3月に第1期生427名が卒業して以来、6300余名の卒業生を送り出してきました。私は、学校の最大の財産は、社会の様々な領域で活躍されている卒業生の方々だと思っています、卒業生の益々のご活躍を祈念しています。

梅雨の恵み

 今日、気象庁は関東地方が梅雨入りしたとみられると発表しました。平年より3日早く、昨年より5日早いそうです。

 私は、鳩ヶ谷高校に着任して最初に感じたのは、花と緑が豊かな学校だということです。HPでもご案内していますが、本校には園芸デザイン科があり、農園と立派な温室3棟があります。梅雨に入り、鳩ヶ谷高校の農園も潤いをみせています。

 今日の午後、「総合的な学習の時間」に埼玉中小企業家同友会の7名の方々に御来校いただき、3年生の各教室で御講演をいただきました。高校生では、実業界の皆様から直接お話を伺う機会はなかなかありません。大変貴重な時間をいただきました。
 梅雨の季節は、稲作をはじめ農作物には恵みの季節です。同友会の皆様の温かいお言葉が、鳩高生の心にしっかりと染み透っていたようです。