校長日誌

《校長日誌》対面式 チーム鳩高

 今日は対面式です。1年生と2・3年生が初めて体育館で一堂に会しました。対面式では、私は平成21年度から5年Jリーグの浦和レッズダイヤモンズ社長をされた橋本光男社長のお話をしました。グループとチームの違いについて、「①グループはただ黙々としている。チームは楽しみ、笑いが絶えない。②グループは個人が責任を負う。チームは誰の間違いでも、全員が快く共同責任を負う。③グループは必要だから集まる。チームは仲間との集いを待ち遠しく思う。」ということを紹介しました。
 この鳩ヶ谷高校を皆さんで「チーム鳩高」として一緒に創りましょう。

《校長日誌》入学式 281名が入学しました

  今日は鳩ヶ谷高等学校の平成28年度始業式、入学式です。本格的に平成28年度がスタートします。午前中の始業式、午後の入学式では、私は、ほぼ同じ内容の話をするようにしています。高校時代に①今やるべきことを見抜く力、②自分を伸ばす力 ③今を楽しみ前進する力 の3つの力を身につけてもらいたいと思っています。

本校では3年前から有志の生徒諸君が宮城県女川町へ出向き、東日本大震災復興のボランティア活動に積極的に参加しています。今やるべきことを見抜く力の例として、三陸鉄道の復旧について紹介しました。5年前の平成23年3月11日の東日本大震災で大きな被害を受けた三陸鉄道は、3年の月日を要して平成26年4月に107キロ全線復旧しました。三陸鉄道は社員60名余りの小さな鉄道会社です。線路が大きな被害を受けたにもかかわらず、大震災からわずか5日後に一部区間の運行を再開し、被災者を大きく勇気づけました。今やるべきことを直ちに実行したのです。物事のプライオリティ(優先順位)をしっかりと見極める力をつけてもらいたいと思っています。
 新しく281名の仲間が鳩ヶ谷高校に加わりました。新入生諸君の活躍を期待しています。



《校長日誌》春の全国交通安全運動 武南警察署出発式

今年は4月6日()から15()までの10日間が春の全国交通安全運動期間です。平成28年度の埼玉県のスローガンは「人も車も自転車も 安心・安全 埼玉県」です。運動の基本は「子供と高齢者の交通事故防止」、運動の重点は①自転車の安全利用の推進 ②後部座席を含めた全ての座席のシートベルトとチャイルドシートの正しい着用の徹底 ③飲酒運転の根絶 ④子供と高齢者の自転車乗車中の交通事故防止 です。
 今日は、川口市役所鳩ヶ谷庁舎で埼玉県警武南警察署の春の全国交通安全運動出発式が行われました。鳩ヶ谷高校の合唱同好会の生徒が参加しました。小学生へのランドセルカバー贈呈や中学生による交通安全作文朗読の後、本校生徒が自転車安全利用宣言をしました。そして、本校合唱同好会の生徒7名とOG1名の8名で♪ふるさと♪など5曲の合唱を披露しました。

私も激励のために会場に行きましたが、桜の花の舞う会場に、爽やかな歌声が響き渡っていました。鳩ヶ谷高校も交通事故防止に積極的に取り組みます。

《校長日誌》『無私の日本人』

 歴史学者の磯田道史さんが書いた『無私の日本人』(文春文庫2012年)を原作とする映画「殿、利息でござる!」が5月に公開されます。藩主が農民・町民から年貢や町人足役などで徴税をしていた江戸時代に、宿場町の人々が藩主から貸金の利息金をとるという実話の映画化です。

 仙台藩領の吉岡という貧乏な宿場(宮城県大和町)の酒屋穀田屋十三郎が主人公です。伝馬役という藩の荷物運びの苦役が重く、宿場町から夜逃げする者が続出します。家数が減れば1軒あたりの負担が増加し、夜逃げが増えるという悪循環に陥っていました。穀田屋は、宿場の旦那衆と相談し、旦那衆9人が出し合い、総額千両(現在の価値で約3億円)の基金を作り、それを仙台藩に年利10%で貸し付け、毎年3000万円の利息をとり、100軒ある宿場の家々に30万円づつ配る制度を作って衰退を止めたそうです。フィギュアスケートの羽生結弦選手が仙台藩主伊達重村の役で出演しているのも話題です。

 学校の授業で教わった日本史も大きく変わっています。時代劇などでは江戸時代の殿様は近世ヨーロッパの絶対君主のように描かれる場合があります。封建体制といわれる江戸時代の幕藩体制においては、行跡の悪い殿様を家老らの合議による決定により、強制的に監禁するという行為もありました。1988(昭和63)年に第10回サントリー文芸賞を受賞した歴史学者の笠谷和比古さんの『主君「押込」の構造』(講談社学術文庫2006)で注目され、江戸時代の幕藩体制への認識が大きく変わりました。

 過去の「知識」や「常識」だけにとらわれてしまうと、「どうせ出来ない」と思い込みがちです。「知識」も定期点検しないと陳腐化してしまいます。混沌とした現代には新しい発想が必要だと思います。


《校長日誌》第26回卒業証書授与式

 本日は、鳩ヶ谷高校の第26回卒業証書授与式でした。3年生274名が元気に卒業していきました。昨年度同様、卒業生答辞の場面では、走馬灯のように思い出が駆け巡り、卒業生の多くから涙が見えました。最後の校歌斉唱では、一人一人が大きな声で校歌を歌い、感動の卒業式でした。今回は、式辞の一部をご紹介します。18歳選挙権をとおして「自由と責任」「権利と義務」についてお話をしました。

 
皆さんは、本日、鳩ヶ谷高校からそれぞれの夢と希望を持って、新たな道へと歩み出していきます。皆さんが歩み出す今日の社会は、ちょうど5年前に発生した東日本大震災からの険しい復興への道のり、混沌とした国際情勢、不安定な経済状況など、課題が山積しています。このような時だからこそ、一人一人の「自由と責任」「権利と義務」がとても大切です。
 そこで、皆さん自身が対象者である「18歳選挙権」をとおして大人としての「自由と責任」「権利と義務」についてお話します。
 大人とは何歳からなのでしょうか。電車やバスの運賃は12歳以上、自動車運転免許は18歳以上、飲酒は20歳以上など大人の年齢は異なります。

今年の夏の国政選挙から選挙権年齢が18歳以上に引き下げられました。それまでの「選挙権年齢は20歳以上」というのは、昭和20年に定められたものなので、今回は70年ぶりの歴史的な大改正となります。
 現在
、18歳までに選挙権を付与している国はおよそ90パーセントにものぼりますので、世界の趨勢に則した改正といえます。この改正により、およそ240万人の18歳、19歳の方が有権者となります。
 なぜ、70年ぶりの大改正が行われたのでしょうか。若者の選挙離れも背景の一つです。平成26年12月に行われた第47回衆議院議員選挙全体の投票率は52%でしたが、20歳代の投票率は32%でした。投票率の低さは日本だけの問題ではなく、民主主義の発祥地であり先進地でもある欧米でも同様です。国政選挙では、英国66%、フランス57%、ドイツ71%、米国36%と、日本を始め、欧米の民主主義国家の政治が閉塞感を強めています。英国の首相であったウィンストン・チャーチルは「民主主義は最悪の政治形態であると言える。ただし、これまで試されてきたいかなる政治体制を除けば」と述べ、民主主義の素晴らしさを説いたことがあります。
 日本の場合、若者の投票率の低さは、選挙に対する理解不足も要因の一つかもしれません。候補者や政党の情報を収集する方法としては、選挙公報、政見放送、街頭演説やインターネットなどがあります。選挙は投票日に投票することが原則ですが、期日前投票の制度があります。投票日に仕事や用務のある人は、期日前であっても投票ができます。今回の公職選挙法改正で、選挙権年齢の引き下げ以外には、選挙運動も18歳からできるようになります。選挙運動では、候補者や政党等以外の者が電子メールを使って選挙運動をしたり、選挙運動用ホームページや電子メールなどをプリントして配ることは禁止されています。
 人間は年齢を重ねて子供から大人に成長するなかで、自由は拡大し、様々な権利が与えられるようになります。しかし、自由には責任、権利には義務が伴います。自分自身で獲得したものならその重みを自覚できますが、何となく与えられたものではその重みになかなか気付きません。今回の「選挙権」の重みをしっかりと認識し、大人としての自覚を持ってもらいたいと思います。
 私は、これまで選挙を棄権したことは一度もありません。時に誰に投票してよいのか分からない選挙もありましたが、自分なりに判断して一票を投じてきました。選挙は、自分の意見を政治に反映する機会です。高校を卒業する皆さんには、大人の一人であることを自覚し、世の中をしっかりと支える人になってもらいたいと思います。
 最後になりましたが、卒業生の保護者の皆様、お子様のご卒業、心からお祝い申し上げます。皆様には、PTA会員として、本校の教育活動に対し、温かい御理解とお力添えをいただきましたことに厚く御礼申し上げます。
 卒業生の皆さんの、これからの大きな活躍を心から願いまして、式辞といたします。

《校長日誌》命をつないでくれるかな?

鳩ヶ谷高校では、今日から学年末考査が始まりました。放課後の教室をまわってみたら、明日の考査に向けて勉強している生徒がたくさんいました。頑張ってもらいたいと思っています。
 2月25
日、インフルエンザ脳症で脳死と判定された女児のご両親が、臓器提供を決心し、最愛の娘に贈った手紙を公表し、報道されました。ご両親は、臓器移植提供に関する説明を受け、悩んだ末に提供を決意され、思いを手紙につづられたとのことです。

 Aちゃんが体調を崩してからお父さんとお母さんは辛くてね。毎日毎日神様にお願いをしました。目に見える者全てに、お山に行ってお願いして、川が見えればお願いして、海に向かっても…いろいろな神社なんかも夜中に行ってお願いしました。最後には落ちている石ころさんたちにもお願いしたんだよ。でもね、どうしてもAちゃんとお父さんを入れ替えることはできないんだって。

 もう目を覚ますことはできないんだって。もう長くは一緒にいられないんだって。

(中略)

 お父さんやお母さんは悩んだ末、Aちゃんの臓器を困っている人に提供することを決めました。もしいやだったらゴメンね。

(中略)

 もしAちゃんが人を救うことができたり、その周りの皆さんの希望になれるとしたら、そんなにも素晴らしいことはないと思ったの。そんなにも素晴らしいことはないと思ったの。こんなにも誇らしいことはないと思ったの。Aちゃんが生きた証じゃないかって思ったの。今のお父さん、お母さんみたいに苦しんでいる人が一人でも笑顔になってくれればどんなに素晴らしいだろうと思ったの。

 そして、その笑顔はお父さんやお母さんの生きる勇気にもなるんだよ。

 いつも周りからみんなを笑顔にしてくれたAちゃんだから、きっとまた世界の笑顔を増やしてくれるよね?

 命は繋ぐもの。お父さんとお母さんがAちゃんに繋いだようにAちゃんも困っている人に命をつないでくれるかな?

 願わくば、お父さんとお母さんがAちゃんにそうしたように、AちゃんもAちゃんが繋いだその命にありったけの愛を天国から注いでくれると嬉しいな。  お父さんより

 お母さんを もう一度 抱きしめて そして 笑顔を見せて   お母さんより

 横山秀夫『半落ち』(2005年 講談社文庫)では、アルツハイマーや骨髄移植をテーマに「命」を繋ぐ思いをつづっています。今回のご両親の思いを読み返すたびに、この世に命を受けたことの重みと繋ぐことの大切さを改めて感じます。

 

 

 

《校長日誌》“おいしい”でみんなをつなぐ八百屋という仕事

鳩ヶ谷高校の司書さんのセレクトにより一冊の本と出会いました。青果ミコト屋『旅する八百屋』(2015年 発行所:アノニマスタジオ・発売元:KTC中央出版)です。本の帯には次のように書いてありました。

 

ほんとうの

おいしいってなんだろう?

自分たちが普段

口にしているものが

どうやって生まれ、

どこからやってくるのか。

何を食べるのかという

ひとつの選択が、

自分の体を、そして

未来をつくっていく。

小さな八百屋が

旅して考えた

野菜のこと、食のこと。

 

と書いてありました。何だか興味がわいて一気に読んでしまいました。

青果ミコト屋とは、高校の同級生であった鈴木徹平さんと山代徹さんが、大学卒業後に就職し、その後めぐりあったのが農業でした。でも、彼らは「耕す人」の道を選びませんでした。それは、農薬を使わずに丹誠込めて育てた野菜も、大きさや色、キズなど、見た目が少しでも規格に合わなければ、既存の流通では買い叩かれるという現実を知ったからだそうです。

自然栽培を中心とした旬のおいしいオーガニック野菜を取り扱う“ミコト屋号”という古いキャンピングカーをベースキャンプに、日本全国の農家を旅してまわり、生産現場に足を運びます。店舗を持たず、定期宅配と移動販売で全国各地で開かれるマルシェやイベントなどでも多数出店しているそうです。

 鳩ヶ谷高校には、農業系の園芸デザイン科があります。埼玉県内では、農業関係高校が県立高校8校、国立高校1校の9校があります。埼玉県は、首都圏に位置しながら、穏やかな気候と豊かな自然に恵まれた立地を生かし、野菜、米、畜産、果実、茶など多彩な農産物が生産されています。産出額でも花き類が全国第5位、野菜は全国第6位です。ネギ、小松菜、里芋、パンジーの生産は全国第1位です。埼玉県では、産地と消費地が近いという特性から、「近いがうまい埼玉産」をキャッチフレーズに県産農産物を「知って、買って、食べてもらう」取組を行っています。私は、埼玉県の高校生に、もっと農業を身近に感じてもらうとともに、ビジネスの一つとして考えてもらいたいと思っています。

《校長日誌》鳩高ブランドが販売されます!実践的職業グローバル事業

 鳩ヶ谷高校は、普通科、園芸デザイン科、情報処理科の3学科が設置された総合制高校です。埼玉県教育委員会では、専門学科を対象に実践的職業グローバル事業を行っています。明日の埼玉県の産業界を担う職業人を育成するため、企業や大学等との連携を強化し、専門高校等の生徒に高度な知識・技能等を習得させることを目的としています。学校・学科の枠を超えた連携により商品開発を行い、主体性、創造性、課題解決能力などグローバル社会で必要とされる力を身につけさせています。専門学科のある本校でも、埼玉県立いずみ高校、埼玉県立岩槻商業高校とイオン株式会社と共同開発した商品を埼玉県内のイオンで販売することになりました。

① 鳩ヶ谷高校情報処理科が包装デザインを作成(いずみ高校生物資源科学科とイオンとの共同開発)

 ・まっタロミス(税別198円)…里芋クリームのティラミス(抹茶味)。2月19日~21日に埼玉県内イオン全店で販売

 ・ココティープリン(税別198円)…ココナッツ入りソイミルティープリン。2月19日~21日に埼玉県内イオン全店で販売

 ・スティック焼きおにぎり(税別98円)…スーパーフードのキヌア入りご飯の焼きおにぎり(昆布・チーズ・深谷ねぎ味噌)。2月20日イオンレイクタウン店限定販売、2月21日イオン与野店限定販売

 ・にっしーの愛がつまった満ぷく月見フライ(税別198円)…卵まるごと1個を豚肉と埼玉県産ほうれん草で巻いて揚げたフライ。2月20日イオンレイクタウン店限定販売、2月21日イオン与野店限定販売

② 鳩ヶ谷高校園芸デザイン科が包装デザインを作成(岩槻商業高校と藤宮製菓との共同開発)

 ・サンカクイズ(税別111円)…求肥のお菓子で商業に関するクイズ付き。2月20日イオンレイクタウン店限定販売、2月21日イオン与野店限定販売

 いずれも鳩ヶ谷高校は包装デザインの作成ですが、鳩ヶ谷高校の校章が入っています。2月20日(土)には、本校情報処理科2年生がイオンレイクタウン店で販売も行います。是非ともご賞味ください。

《校長日誌》園芸デザイン科卒業作品展を見てきました

 本日から2月15()まで、川口市立グリーンセンターにおいて、園芸デザイン科3年生の卒業作品展を行っています。

 園芸デザイン科は、昭和63(1988)年、本校開校と同時に全国で初めて設置された農業系の専門学科であり、生活空間や都市環境を豊かで住み良い快適な空間に創造するための知識と技術を学んでいます。1年生で園芸やデザインの基礎を学び、2・3年生では、フラワーデザイン・グリーンデザイン・ガーデンデザインの3専攻に分かれ専門的に学習しています。「春の園芸フェスタ」「川口市はたちの集い」「鳩ヶ谷商工まつり」など地域のイベントにも積極的に参加し、園芸デザイン科の取組を多くの方々に御紹介しています。今後も園芸デザイン科のパイオニアとして、さらなる高みを目指してまいります。

 この卒業作品展は、第1期生からの伝統行事です。私も本日見てきました。フラワー専攻は春夏秋冬イメージしたグループ作品、ガーデン専攻は世界遺産をイメージしたジオラマ的な作品、グリーン専攻は、「神秘の湖」「木霊」「循環~とき~」のテーマとするグループ作品と「静寂」をテーマにグリーン専攻16名全員で制作した大作から構成されています。本日と明日は春を感じる気温になるようです。本日から15日(月)まで川口市立グリーンセンターの「緑のアトリエ」で午前9時30分から午後4時まで開催しています。個性豊かな第26期生の努力と成果の結晶である作品を心ゆくまで御鑑賞ください。


《校長日誌》『下町ロケット』『下町ロケット2 ガウディ計画』

 平成27年秋の連続テレビドラマ視聴率でTBSドラマ『下町ロケット』(阿部寛主演)が18.5%でトップでした。年間ドラマ視聴率でもトップという人気ドラマでした。原作は、池井戸潤の第145回直木賞受賞作品である『下町ロケット』(小学館2010年)と続編の『下町ロケット2 ガウディ計画』(小学館2015年)です。

 池井戸作品では、半沢直樹シリーズ(『オレたちバブル入行組』(文藝春秋2004年)、『オレたち花のバブル組』(文藝春秋2008年)、『ロスジェネの逆襲』(ダイヤモンド社2012年)、『銀翼のイカロス』(ダイヤモンド社2014年))を始め、『空飛ぶタイヤ』(講談社文庫2009年)や『不祥事』(講談社文庫2011年)に始まる「花咲舞が黙ってない!」シリーズなど池井戸作品はどれも面白い。池井戸作品は、「一生懸命生きていれば、必ずいいことがある」と信じさせてくれます。しかし、「下町ロケット」シリーズは別格だと思います。

 心が疲れている時、涙が出そうな時には勧善懲悪のものがいい。なぜなら、疲れている時には、それと逆のことを考えがちだからです。自分はダメな人間だ、周りの人が信じられないなど、孤独感が強まり、どんどん自信がなくなっていきます。涙が出てくることもあるでしょう。しかし、池井戸作品を読むと、人生これから先、悪いことばかりではないと思えるようになってきます。

 「下町ロケット」シリーズの主人公は、佃製作所社長の佃航平という中小企業の社長です。しばしば崖っぷちに立たされ、絶望的な状況に追い込まれます。しかし、意外なところから主人公の味方が現れたり、悪役が窮地に追い込まれる事実が発覚したり、大逆転が起こります。

 生きるのは決して楽ではない。壁にぶち当たり、投げ出したくなることも何回もあるかもしれない。しかし、夢を持ち、誠実に正直に生きていれば、必ず素晴らしい人生が待っていることを教えてくれます。そう教えてくれるのが『下町ロケット』という作品であり、池井戸潤という作家だと思います。

 『下町ロケット2 ガウディ計画』で私の好きな文章を紹介します。主人公である中小企業の佃製作所社長の佃航平が、会社に不満を持って辞めていく若手社員に、テレビドラマでは涙ながらに贈った言葉です。

「・・・どこに行っても楽なことばかりじゃない。苦しい時が必ずある。そんな時には、すねるな。そして逃げるな。さらに人のせいにするな。それから・・・夢を持て。オレがお前に贈ってやれる言葉はこんなことぐらいしかない。」