校長日誌

《校長日誌》スクールカウンセラー

鳩ヶ谷高校では、今年度からPTA後援会の御協力をいただいて、スクールカウンセラーに月1回来てもらっています。スクールカウンセラーという言葉を最近は耳慣れてきた感じがしますが、その歴史は比較的浅いのです。公立学校では、平成7(1995)年に文部省(当時)が「スクールカウンセラー活用調査委託事業」を開始し全国の学校154校に導入したのが最初です。当初は「活用調査」という試行で始まったものですが、教員免許を持たない教育とは異なる専門家の登場に、学校は戸惑ったようです。思い出してみると、私も当時勤務していた高校から生徒指導研修会に行き、「カウンセリング初級」を受講した記憶があります。

日本の学校では、明治以来、担任教師がすべての役割を担うという形で学校教育が進められてきました。日常的な生活指導から、進路指導、悩み相談まで一人の担任がクラスの生徒全員を対象に行ってきたわけです。中学校や高校ではさらに部活動の指導が加わります。アメリカでは、それぞれの専門家が分担していますが、日本の教師は「何でもできる」スーパーマン・スーパーウーマンが期待されていました。最近では日本でも、社会や家庭の状況が変化する中で、教師だけでなく、外部の方の協力をいただきながら教育活動に取り組むようにはなってきていますが、アメリカに比べると教師一人一人の役割は大きいです。一人の教師が複数の役割を兼ねることのメリットもあります。一人で担当しているために、家庭環境から身体の調子、友人関係や学業成績までトータル的に理解できるのはその一つでしょう。

スクールカウンセラーの仕事は、子供の面接、保護者の面接、教師へのコンサルテーション、外部機関との連携、研修会など多岐にわたります。子供がSOSを発信した時、どのように対応してよいのか親も教師もわからなくなってしまう時があります。そのような時に、専門職としてのスクールカウンセラーの役割は大きいと思います。

伊藤美奈子 奈良女子大学教授は次のように言っています。「今、子供たちには『生きた壁』が必要です。壁は外部と内部を遮断するものであり、子供が自由にするのをある程度規制する、邪魔をする役割があります。『ダメなものはダメ』と言い切れる強い壁の存在は重要です。この壁は、子供が不用意に外に出てしまって、自分で傷ついたり苦労したりするのを防ぐ『守り(防壁)』になっているのです。家庭は『ルールを教え規制する厳しさ』と『守りの力』の両方を持っていないといけないのです。さらに、子供を取り巻く壁は、単にセメントのように無機質の壁ではなく『生きた壁』でなければなりません。生きているが故に、ぶつかった子供も痛いけれど、ぶつかられた親の側も痛みを感じ、子供の要求にしっかりとぶつかった上で、『ダメなものはダメ』と言う。ただ単にピシャッとはねつけるだけではなく、子供の痛みを感じつつ親としての痛みにも耐えるという血の通った存在であってほしい。」

このような「生きた壁」になるために、保護者や教師の連携は重要です。そこにスクールカウンセラーの方も加え、三者でスクラムを組みながら、子供たちの成長を支援できればと思っています。