校長日誌

くすぶる力

 最近、テレビにもよく出演している明治大学文学部の 齋藤 孝 教授の『くすぶる力』(2013年・幻冬舎)を読みました。齋藤教授は『声に出して読みたい日本語』(2001年・草思社)が大ベストセラーになり、世間でも著名となり、大学の他、テレビのコメンテーターなどでも活躍さてている多忙な方です。『くすぶる力』の本の帯に「僕も20年くらい、くすぶっていました。決してムダな時間ではなかった」というコピーに惹かれました。

 よく、「人生は挫折を知らない奴はだめだ」と言う方がいます。そのようにおっしゃる方は、たいがい成功している方が多いようです。人生、挫折をしないで過ごせるに越したことはありませんが、それができないのが、また人生です。

 本では、くすぶっている人とは、自分には才能があるははずなのに世間は認めてくれない、正当に評価してもらっていない、自分が思い描く自分像と現実にギャップがある人々と定義しています。こうした苛立ち、焦燥感からの脱却についての指南書です。

 私は歴史が好きで、歴史上の人物を調べたりする時がありますが、ある意味、歴史はくすぶりの極致です。先日、校内で日本史「壬申の乱」の授業を見ましたが、大海人皇子(おおあまのおうじ:のちの天武天皇)もくすぶっていました。慶応義塾大学の創始者で、1万円札の肖像画である福沢諭吉も「門閥制度は親の仇で御座る」(『福翁自伝』)と、くすぶっていました。

 齋藤教授は、「素直で貪欲な態度で人に向かう」「仕事の中で疲れない一点をみつける」など具体的なアドバイスをしています。「失敗は準備不足と経験不足で起きる」とも言っています。準備して、チャレンジして、経験を増やして、また準備してチャレンジすることの大切さを説いています。「凡事徹底」の大切さを改めて感じました。