《校長日誌》浦島太郎伝説

 今日は第1学期終業式でした。思い返してみると、4月8日の入学式は雪が降りました。5月には猛暑、今年の夏は酷暑かと思ったら6月には梅雨寒、そして7月の大雨と不安定な天候でした。鳩ヶ谷高校の生徒841名が長い夏休みを有意義に過ごして9月の始業式に元気で会おうという思いを込めて「浦島太郎伝説」について話をしました。テレビCMは30秒に中で制作者の思いを伝えないといけません。おとぎ話は伝えやすい素材の一つです。最近は、スマートフォンのAUのCMで、桃太郎にはフレンドリーに、金太郎には上から目線で、桐谷健太が演じていて高校生にもお馴染みです。概要をご紹介します。

 テレビのCMは30秒という短い時間に制作者が思いを込めます。最近のCMではおとぎ話を活用したものを見かけます。おとぎ話には、子供に教え諭すための教訓が必ず入っています。内容は大変わかりやすい、善人はいつか報われ、悪人は最後には罰が当たります。しかし、この法則にあてはまらないおとぎ話があります。「浦島太郎」です。大人になると「あいつは浦島太郎だ」と言われると、世の中の変化に気付かいなことをさします。

 浦島太郎は、善人だと思いますか。悪人だと思いますか。この「浦島太郎」は、実は奥が深いのです。浦島太郎の立場、乙姫の立場でこの話は全く違ってきます。毎日、働き者の漁師であった浦島太郎は、「うまい話」にのり、竜宮城で快楽の世界を体験します。故郷に帰ると300年がたっており、知ってる人は誰もいません。孤独感を味わいます。鯛やヒラメの舞踊り、豪華な食事、乙姫の美しさは楽しかったのでしょうか。鳩ヶ谷高校で例えると、学校がつまらないからとアルバイトといううまい話にのり、時給900円、1000円という接待を受け、不相応のお金を手に入れ金銭感覚を失ってしまうようなものです。楽しさは、一緒に悲しんだり苦しんだりしてくれる家族や仲間がいて初めて楽しさを実感できるものです。浦島太郎はむなしさを感じたのだと思います。

 竜宮城に住む乙姫からすると、漁師である浦島太郎は天敵です。うまい話にのせ、浦島太郎を竜宮城に誘い込み、働き者から腑抜けものにしていまします。年老いた母親も見捨てさせます。最後は自暴自棄にさせることに成功しました。鳩ヶ谷高校で例えると、部活動や勉強などの学校中心の生活から、アルバイト中心の生活に向かってしまい、高校生活の魂を奪い取ってしまうことです。乙姫は浦島太郎の次の獲物を探しているかもしれません。

 ここ話からは3つの教訓についてお話します。

1 「亀」に乗ってはいけない、つまり、「うまい話にはのってはいけない」という教訓。

  亀は、現代では車やバイクである。やさしくされても車やバイクに乗らない。

2 蒸発してはいけない、つまり「家を出る時は、行き先と帰りの時間を親に言え」という教訓。

  急に子供が蒸発したとなれば、親は半狂乱になって探すに違いありません。浦島太郎は帰ろうと思えばいつでも帰れる状態でした。でも自分が楽しかったから、好き勝手をしていたのです。

3 自己中心の悪人になるな、つまり「相手の立場を考えられる人になれ」という教訓。

  浦島太郎、乙姫の立場によって、話の受け取り方は全く違ってきます。浦島太郎の最大の罪は、一人身勝手なことをしていたことにあります。老齢の母親は介護が必要だっだのでしょう。故郷の友達も突然失踪した浦島太郎のことを心配したでしょう。浦島太郎は自分一人のことしか考えませんでした。この点で、浦島太郎は悪人なのです。おとぎ話の最後で罰を受けることに何ら問題はなかったのです。

 夏休みになると様々な誘惑に出会うかもしれません。充実した45日間の長い夏休みを過ごしてください。浦島太郎にならず、二学期始業式に皆さんの元気に会いましょう。