2014年10月の記事一覧
がん教育講演会
先週の10月23日(木)、鳩ヶ谷高校に阿南里恵さんをお迎えして、2・3年生対象にがん教育講演会を開催しました。埼玉県保健医療部疾病対策課の御協力をいただき、開催したものです。
埼玉県の死因の第一位はがんであり、平成25(2013)年には年間1万8千人の県民の方ががんで亡くなっています。特に、女性特有がんである乳がん及び子宮がんについては、早期発見・早期治療により治るがんであるにもかかわらず、他のがんと比較して死亡率がほぼ横ばいに推移しているそうです。そこで、疾病対策課では、若い世代から、乳がん・子宮がんの正しい知識や検診の重要性を学ぶことで、女性特有がんへの関心を高め、予防行動や将来のがん検診の受診を促すとともに、家庭内での波及効果も期待し、県内高校生を対象としたがんに関する出前講座を開催しています。
ご講演いただいた阿南里恵さんは、23歳の時に子宮頸がんを発症し、充実していた社会人生活が一変して闘病生活をされ、ご両親、友人等に支えられ元気に快復されました。その後、子宮頸がん啓発セミナーなどで講演活動をされ、「がん教育」や「いのちの授業」などを行われてきました。現在は、厚生労働省がん対策推進協議会の委員として、国のがん対策に携わっています。
講演が始ると、2・3年生の生徒諸君と教員は、阿南さんの壮絶な闘病生活と希望を失わない前向きな生き方に共感し、私語ひとつなく聞き入りまいた。講演をとおして、今、生きていることの幸せを実感しました。私は、阿南さんの3つの言葉が特に印象的でしたので、ご紹介します。
1 命はいつ終わるかわからない。それは自分も他人もみんな同じ。だから今日を大切にする。
2 つらくて、つらくて、たまらなくなったらSOS。
3 幸せは比べられない。自分で気づくこと、感じること。
身近な大人への職業調べ
私が拝聴して皆様に共通していると思ったのは、それぞれのお仕事に対する使命感です。生徒諸君の心にもしっかりと届いたと思います。
保護者力
学校は、保護者や地域の皆さんと連携を深めながら子供たちの教育を行うところです。最近、子供への保護者の役割や影響のことを「保護者力」と呼ぶことがあります。かつては、高校生が自分の進路を考える時、相談相手は、学校の先生、保護者、友達の順でした。しかし、最近は、保護者の比率が高まっているそうです。本校の生徒・保護者アンケートでも生徒の58.8%が保護者にまず相談しているようです。
小学校・中学校と違い高校では、親も子供の自立のために子供への距離を置くようになるとともに、子供も親への依存度が少なくなってくる時期です。このような中で「保護者力」をどのように発揮すればよいのでしょうか。
いつの時代も子供は親の背中を見ながら育ちます。親の生き方や考え方が、子供の人生観に大きく影響を与えます。今日では、保護者が家庭で厳しくしつけを行い、社会規範を教えるというだけではなく、相談相手としての役割も担うようになってきています。そのためには、正しい情報がないと的確なアドバイスはできません。
鳩ヶ谷高校では、保護者会やPTA行事などで卒業後の進路や職業選択に関する多くの情報を提供しています。9月26日に県教育委員会の定期的な学校訪問があり、鳩ヶ谷高校のよい教育活動を積極的にアピールするようにというアドバイスがありました。従来の学年だよりなどの紙媒体だけでなく、学校ホームページなどでも積極的に情報提供する必要性を感じています。今後も、より積極的に保護者の方に進路情報や生活指導情報など、様々な情報を発信してまいります。
学校と家庭が車の両輪となって、子供たちに、時に厳しく、時に優しく、また良き相談相手にもなりながら、子供たちを育てられればと思います。今後も本校の教育活動に一層の御協力をお願いいたします。
イベントの秋
さて、秋と言えば、イベントの秋です。10月11日(土)、12日(日)、は第45回商工まつり(主催:鳩ヶ谷商工会 後援:川口市)が、鳩ヶ谷庁舎駐車場で開催されました。同時に、10月11日(土)~13日(月)には、川口市立グリーンセンターで川口グリーンフェスティバル2014が開催されました。いずれも、本校の園芸デザイン科の生徒諸君がコサージュ作り教室やフラワーアレンジメントに協力をしました。私も、11日(土)に商工まつりの会場を訪ねてみました。予想以上に多くの親子連れの方々が来場されており、ステージでのイベント、チビッコ大抽選会、屋台など盛りだくさんの商工まつりでした。鳩ヶ谷高校のコサージュ作り教室のブースでは、2年生の女子生徒5名と教員2名で対応しましたが、おかげさまで大盛況でした。
鳩ヶ谷は江戸時代からの歴史ある宿場町です。本校は、鳩ヶ谷という歴史のある地名を校名にいただいております。今後とも地域の皆様の思いを大切にしながら歩んでいきたいと改めて思いました。
総合的な学習の時間② 社会人となるマナー講座
私が高校生だった頃に比べると、今日の高校教育は変容しています。授業科目においても、家庭科男女必修化、教科「情報」の新設などとともに、土曜日半日授業がなくなり学校週5日制になるなど、大きく変わっています。さらに、社会の変化に伴って学校教育には、様々な要望が寄せられます。そのような状況の中で、平成14(2002)年度から「総合的な学習の時間」が学年進行で導入されました。自ら課題を見付け、自ら学び、自ら考え、主体的に判断し、よりよく問題を解決する資質や能力を育てることなどをねらいとすることから、思考力・判断力・表現力等が求められる「知識基盤社会」の時代においてますます重要な役割を果たすものと思います。
鳩ヶ谷高校の「総合的な学習の時間」は、学年ごとに体系化しており、学科、教科を横断的、総合的に取り組む内容になっています。キャリア教育、防災教育、国際理解教育、マナー教育など、これから社会に出ていく高校生に必要な内容を総合的に行っています。3年生が行った「社会人となるためのマナー講座」は、9月25日(木)に男女別、10月2日(木)クラス別でマナー講習会を行い、昨日は、PTA後援会顧問の方の御協力により専門学校の方3名にご来校いただき、男女別に講演をいただきました。頂戴した名刺に「感謝する心、素直な心、優しく強く」とありました。社会の第一線でご活躍されている方が求めるのは、学校教育が求めることと共通項が多いと改めて実感しました。社会人になると特に身だしなみは大切です。生徒たちは身だしなみだけでなく気配りの大切さを改めて実感していました。
総合的な学習の時間① 経済同友会
鳩ヶ谷高校は、普通科・園芸デザイン科・情報処理科の3学科併置の特色ある学校です。高校の場合、普通科と専門学科は、専門学科では普通科目の他に専門科目を多く学習するため、普通科目の学習時間が普通科に比べると少なくなります。また、専門学科では「総合的な学習の時間」を課題研究で対応している学校が多い状況です。鳩ヶ谷高校では、3学科併置の特色をいかすために「総合的な学習の時間」を学年統一の内容で実施しています。
今日は、「総合的な学習の時間」がある日でした。1年生は公益社団法人経済同友会の御協力により8名の方に御来校いただき出張授業をしていただきました。2年生は修学旅行に向けた事前学習、3年生は本校PTA後援会顧問の方の御協力により「社会人になるためのマナー講座」を開催しました。今日は、1年生の取組について、明日は、3年生の取組についてご紹介します。
御協力いただいた公益社団法人経済同友会は、昭和21(1946)年に設立され、日本経済団体連合会(経団連)、日本商工会議所と並ぶ「経済三団体」の一つです。
経済同友会では、「活力ある21世紀の日本社会を支えていく人材の育成・教育」のために、企業・経営者にできる具体的な活動として、「学校と経営者の交流活動」を推進しており、約100名の経営者が登録され、年間約140件(2013年度実績)の出張授業や講演活動を展開しています。この活動は、平成13(2001)年4月10日に発表した提言「学校と企業の一層の相互交流を目指して~企業経営者による教育現場への積極的な参画~」に基づき行われている事業だそうです。
鳩ヶ谷高校では、企業経営に携わられている方から、企業や社会の現状等を生徒に直接お伝えいただくことにより、生徒が自分の将来に対する希望や目的を持つきっかけとするために企画したものです。「社会に出る前の今、私たちが身に付けておくべきこと」という演題により、クラスごとに授業をしていただきました。御来校いただいた講師の方々は、企業経営の第一線でご活躍されている次の皆様方でした。
赤羽根 靖隆 氏 DTS 特別顧問
岡本 和久 氏 I-Oウェルス・アドバイザーズ 取締役社長
桐原 敏郎 氏 日本テクニカルシステム 取締役社長
高坂 節三 氏 日本漢字能力検定協会 代表理事
出口 恭子 氏 アッヴィ 社長
同前 雅弘 氏 大和証券グループ本社 名誉顧問
林 達夫 氏 アークデザイン 取締役社長
古橋 和好 氏 感動創造研究所 エグゼクティブ フェロー
1年生の各教室では、講師の皆様のスタイルにより、パワーポイントを使用されたり、講義形式や集会方式など様々でした。時に、笑いあり、納得ありの50分間で生徒はとても真剣に聞いていました。講義の内容は、私たち教員にも大変参考になるものでした。また、テレビ埼玉の取材があり、生徒はちょっと緊張気味でした。出張授業の内容は、本日のテレビ埼玉のイブニングNEWS(17:45~18:00)とニュース930(21:30~22:00)で放映予定とのことです。
ご多忙の中、鳩ヶ谷高校にご来校いただいた皆様に改めて感謝申し上げます。
君とつばさ
先日、公益財団法人交通遺児育英会から広報誌「君とつばさ」316号が届きました。交通遺児育英会は、保護者が道路上の交通事故が原因で亡くなられたり、重度の後遺障害のため、経済的に修学が困難になった子供たちが高校、大学に通う支援として、奨学金を無利子で貸している公益財団法人です。8月に開催された高校奨学生と保護者のつどいの紹介など、多くの高校生、大学生、さらに遺族の方々の頑張りが伝わってくる内容でした。
高校教師だったご主人を13年前に亡くした保育士の保護者と5歳の時に父を亡くした専門学校生の方の体験談の紹介がありました。保護者の方のお話では、長女と学校を訪ねて「お父さんは、君をこの学校に入れたいと思っていた」と同僚から聞き、長女が受験を決意したと語り、長女と次女が入学されたエピソードを紹介されました。専門学校生は、講演準備のために、父について母と話し合ったことに触れ、「忘れることも忘れないことも、生きる力になると感じた」ことを紹介されました。とても重い言葉だと思いました。
学校は、1日の多くの時間大切なお子さんをお預かりしています。私は、日頃から先生方一人一人が「自分が勤務している学校に、ぜひとも自分の子供を入学させたい」という気持ちを持ってもらいたいと思っています。鳩ヶ谷高校もそのような学校になるように、先生方や保護者の皆様と知恵を出し合いながらよりよい学校づくりに取り組んでまいります。