2015年6月の記事一覧

《校長日誌》拙速(せっそく)は巧遅(こうち)に勝る

 今日は夏至です。1年で一番昼間が長い日です。鳩ヶ谷高校は明日6月23日が開校記念日で、生徒は休業日です。鳩ヶ谷高校は平成29年度に創立30年を迎えます。節目の創立30年に向けてブラシュアップに取り組んでまいります。

中国の兵法書『孫子』には、「拙速(せっそく)は巧遅(こうち)に勝る」という格言があります。拙速とは、つたなくても速いことであり、巧遅とはたくみでも遅いことです。つまり、完璧でなくとも取組が早いにこしたことはないという意味です。仕事で考えてみると、私自身、巧遅でうまくいったことはほとんどありません。

 完璧さを追求するあまり、いつも期限がぎりぎりになる人がいます。完璧さを心掛けること自体は、とても素晴らしい考え方です。ただし、時間がかかりすぎてタイミングを逃しては意味がありません。「完璧だ」と自分が思っていても、相手が同じように「完璧だ」と感じるとは限りません。時間の経過とともに相手方の考えが変化することもあります。そうしたリスクを回避するには、スピードが大切です。

 古来から歴史は人生の鏡であると言われてきました。古今東西を問わず歴史上の偉人は、皆早くて上手な「巧速(こうそく)」です。しかし、彼らは最初から「巧速」だったわけではありません。「巧遅よりも拙速」ということを意識し、その結果として「巧速」の術を身につけたのでしょう。

 「拙速」か「巧遅」かと二者択一の判断を迫られたら、あなたならどちらを選択しますか。拙速といっても限度もあります。いくらスピードが早いといっても、あまりにも粗雑すぎたり、内容がずさんすぎると、当然ながら信頼を失います。何事も計画性が大切です。


 

《校長日誌》俺が俺がの「が」を捨てて、おかげおかげの「げ」で生きる

あなたは、ジャンケンが強いですか?

「『ジャンケンで勝負だ』と言われたその瞬間、あなたはどう思いますか。『勝てそうだ』『負けるかもしれない』どちらでしょうか。実はその一瞬で私たちの脳は大きな選択をしています。」と言っているのはメンタルトレーナーの西田一見さんです。ジャンケンが強いか弱いかは、子供の頃の記憶に負うところが大きそうです。西田さんは、将来の可能性を決める2つの記憶として次の方程式を示しています。

経験記憶+イメージ記憶=将来の可能性

良い経験を重ねていくことは、人生にとってとても重要だそうです。私は、鳩高生には、鳩ヶ谷高校で一つでも多くの成功体験を積んでもらいたいと思っています。

その反面、絶対に言ってはいけない3つの言葉があるそうです。それは、「無理」「ダメ」「できない」の3つだそうです。この言葉を頻繁に使っていると、負のスパイラルに陥ってしまいます。

先日、ある会社を定年退職された後にも、会社や地域活動で活躍されている方と会食をしました。現役時代から、頼まれた仕事は断らなかったそうです。やったことのない新しい仕事にチャレンジし続けることで、新しい知識や経験が生まれ、さらに新しい人脈が広がっていったそうです。反対に「あれはイヤ」「私にはこれしかできません」と言って自分の仕事を限定している人とところには、やがて誰も仕事を頼まなくなるそうです。

私も10年ほど前に、教員の大先輩に「俺が俺がの『が』を捨てて、おかげおかげの『げ』で生きる。困っているから頼みに来るのだから、頼まれた仕事は引き受けなさい。おかげ、おかげの、おかげさま」と言われたことがあります。ことわざにもあるように「情けは人のためならず」です。

《校長日誌》正しいこととは何か

 今日から6月です。今日は全校集会がありましたので、その時の講話の内容を紹介します。

 

 昨年、ノンフクション作家である 門田隆将 さんの『慟哭の海峡』という本が出版されました。アンパンマンの作者である漫画家 やなせたかし さんにスポットをあてた本です。私は、3月14日の卒業式では皆さん誰でも知っている「アンパンマン」を題材にして「生きる希望」についてお話をしました。

 今日は、アンパンマンを題材に卒業式で伝えられなかった「正しいこととは何か」について考えてみたいと思います。私は授業では主に日本史を教えていましたが、歴史を学ぶなかで、常識を疑うこと、常に自分の立ち位置を意識することが大切だと教えてきました。「正しい」といわれていたことが間違っていたことはよくあります。

 アンパンマンは、他のヒーローと違いますよね。私たちのイメージする「正義の味方」といわれるスーパーマンやウルトラマンなどのヒーローは、悪役を徹底的にやっつけて、さっそうと去っていきます。街をめちゃくちゃにしても被害者に謝りはしません。

 やなせさんは、戦争を経験しています。私たちが想像を絶する場面も経験したでしょう。京都帝国大学出身の弟は23歳で戦死しています。そのような経験から「正しいこととは何だろう」「正義の味方といわれるヒーローは、一体だれを助けているのだろう」と考えたようです。真のヒーローとは、本当に困っている時、一人ぼっちで寂しくて心が折れそうな時などうしようもない時などに、やってきてくれる人だと気付きました。本当に人を救おうと思えば、自分が傷つかずにはできない場面があると思います。アンパンマンはヒーローだけど情けない。だからチビッ子はすぐに見向きもしなくなる。お腹がすきすぎて困っている人に、自分の顔を食べさせて助ける場面があります。自己犠牲の大切さへのメッセージですね。でも、バイキンマンやドキンちゃんを絶対に殺さない。大人になるとアンパンマンの偉大さがわかります。それは君たちが親になる時です。

 本当の正義、正しいこととは何か。それは、自分のことよりも他人のことを考えて行動し、人を大切にすることです。困っている人を助けること、それはいつの時代にも絶対に変わらない正しいこと、正義だと思います。

 先日、バスの中で優先席に座りながらスマホゲームに夢中になり2人組の高校生を見かけました。高齢者の方が来たらあなたならどうしますか。教科書には出ていませんが、優先席は電車やバスで一番乗りやすい場所、降りやす場所にあります。電車やバスでは優先席に限らず、高齢者や足の不自由な方、妊娠している方などいたら、席を譲りましょう。「どうぞ」の一言です。周囲の人への気ばたらきが大切です。

 たった一言で人は傷つく。たった一言で人は微笑む。たった一つの行動で人は癒されます。言葉や行動は、人から人へ「こだま」します。