2015年10月の記事一覧

《校長日誌》原島文庫

 10月1日()から本校の各教室に22タイトル23冊からなる「原島文庫」が設置されました。全校集会で本校の図書視聴覚部主任の先生の説明の後、図書委員会の生徒が趣旨を説明しました。趣旨説明の内容を紹介します。

 原島文庫は、長年にわたり本校の教諭としてご勤務くださった 原島 眞理 先生のご厚意により創設されたものです。

 原島先生は、平成17(2005)年に本校に国語科教諭として赴任され、平成25(2013)年4月に他校へ転勤なさるまでの8年間、教鞭を執りつづけてくださいました。惜しくも転勤なされてすぐに病のため天国に旅立たれました。事実上最後の勤務校が本校であり、そのご縁で、ここに原島文庫が設立されました。

 先生は、大学で日本文学を学び、日頃から読書を人一倍好み、書物に親しむ生活を習慣とされていました。生徒にこれを読めという指導ではなく、自らが読書する姿勢を示し、その姿で本を読む大切さを教えるというタイプの先生でした。書物を大事にひもとき、多くのことを学び、ご自分を磨き上げていった先生に敬意を表しながら、原島文庫を利用してください。

《校長日誌》ガリバー旅行記とガラパゴス

 今日は10月1日、平成27年度の後半戦が始まります。全校集会がありましたので、生徒への講話を紹介します。

 今日は、『ガリバー旅行記』をとおして、「ガラパゴスの珍獣イグアナになるな」について話します。

 まず、皆さん、子供の頃に読んだことのある『ガリバー旅行記』を思い出してください。医師レミュエル・ガリバーがイギリスから船で旅立ちますが、途中で漂流してしまい、小人の国への冒険、巨人の国への冒険、空飛ぶ島ラピュタへの冒険、高い知性の馬と人間の姿をした野蛮な生き物ヤフーが争う国へ次々と冒険する話しです。

 『ガリバー旅行記』は、今から約300年前にアイルランド人のスウィスト(16671745)が記した政治風刺小説です。そこにあるのは、戦争批判、経済批判、科学批判、身分制度への批判です。ちなみに、第3部では、ガリバーは鎖国をしていた江戸時代の長崎に来て、その足で江戸に立ち寄り徳川将軍とも対面しています。

 『ガリバー旅行記』には、保身に走り世渡り上手な政治家、自分に甘く他人に厳しく商人、人情を感じない無機質な学者、前例踏襲で旧態依然とした役人などへの批判が込められています。それは、老若男女を問わず自己中心的な人間への批判です。

 300年前の風刺話ですが、現代の日本やこの鳩ヶ谷高校にも共通する部分があります。今年は2015年。実は、今から7年前、皆さんがまだ小学生の頃に、野村総合研究所が「2015年の日本」という論文をまとめました。野村総合研究所とは、日本最大の証券会社である野村證券が設立した日本最大のシンクタンクで、政治、経済、教育など様々な分野に関して施策立案する会社です。その中で、7年後の2015年は大きな転換点であり、①国内経済に依存している業界は今のままでは成長できなくなる ②グルーバルな市場統合がすすむ ③地方の衰退が深刻化する という3点を指摘していました。

 そこで具体例と示されたものの一つが、携帯電話でした。当時は、初代iPhoneが発売された直後でした。当時の日本の携帯電話は、サービス内容や機能は世界トップ水準でしたが、日本国内仕様にあわせて作り込んだため、世界での競争力を落としてしまっていました。このことを「ガラパゴス化現象」と名付けました。携帯電話は略して「ガラケー」です。私ですら昨年からiPhoneを使っています。スマートフォンの普及率(平成26年)は、日本は53.5%なのに対し、米国69.6%、仏国は71.4%、英国は80.0%、韓国は88.7%です。携帯電話以外に日本国内で高度に発達し世界に普及しなかったものとしては、テレビのデジタル放送、電子マネー、耐震建築、最近では新幹線技術もインドネシアで中国に敗退しました。

 南米大陸から900kmも離れたエクアドルのガラパゴス諸島では、巨大化したイグアナやゾウガメなど、さながら恐竜の世界です。ガラパゴスの珍獣、めずらしい爬虫類の特徴は、①孤立して独自に進化してしまった ②保護されないと生きていけない ③絶滅危惧種 の3点です。これを日本経済に置き換えると、①日本国内独自仕様の商品 ②国際競争力がない ③日本国内市場は縮小 ということです。

 皆さん、身近なガラパゴスを探してみてください。この鳩ヶ谷高校にもガラパゴスがあります。例えば、挨拶。コックリ病です。首でうなずくだけ。鳩ヶ谷高校でしか通用しないガラパゴスです。例えば、チャイム。「始業チャイムの鳴り終わりの時に教室にいない場合を遅刻とする」というルール。チャイム前に先生が教室に入っても、チャイムが鳴り始めてから教科書をロッカーに取りに行く人。7年前の小学生の時にはなっていなかったガラパゴスです。

 7年後の日本は残念ながらチャンスを失ってしまいつつあります。歴史的に見ても、改革を行う時は、必要に迫られた時は手遅れなのです。これは人生でも同じです。ガラパゴスの珍獣イグアナにならないために、内なるガラパゴスと闘ってください。日本で繰り返される失敗を教訓に、少なくとも皆さん自身、さらに鳩ヶ谷高校はガラパゴスにならないようにしましょう。ガラパゴスの珍獣イグアナにならない方法を教えましょう。常に自分の立ち位置を常に確認し、「おかしいな、変だな」といわれる前に自分の力で変わることです。そのことを「自律」と言います。後半戦は、そのように巻き返しましょう。