2016年12月の記事一覧

《校長日誌》充実しているとアッという間に時は過ぎる

 冬休みに入り、鳩ヶ谷高校では運動部、文化部がそれぞれ活発に活動していました。

 今日は、鳩ヶ谷高校の吹奏楽部の第9回定期演奏会を蕨市民会館で開催しました。たくさんの皆様に御来場いただき、ありがとうございました。部員一人一人が、皆様への感謝の気持ちを抱きつつ、日頃の成果を発揮して見事なハーモニーを醸しだしてくれたと思います。

 また、鳩ヶ谷高校弓道部の全国大会出場メンバーが校長室に大会報告に来てくれました。1223日から1225日まで第35回全国高等学校選抜弓道大会が愛知県名古屋市の日本ガイシホールで開催され、鳩ヶ谷高校が女子団体に出場したメンバーです。弓道部の全国大会出場は開校以来初めてです。女子団体では持ち前の集中力を発揮して予選を勝ち抜き、全国ベスト16に残りました。昨日行われた団体決勝では1回戦で敗退してしましましたが、大健闘でした。出場メンバーに今年を振り返ってもらうと「アッという間に一年間が過ぎてしまった」と言っていました。顧問の先生への感謝の念と、自分自身に対する充実感が感じられました。

 年の瀬です。大人になると、バタバタしているうちにアッあっという間に時が過ぎてしまうと感じますが、ひたむきに取り組んでいる高校生の姿からは、本当に元気をもらいます。教員になってよかったなあと感じる一時でした。

《校長日誌》Open your heart to everyone. -心を開こう、誰にでも-

 今日は、平成28年度第2学期終業式でした。弓道部が明日から名古屋市で開催される全国高等学校選抜弓道大会に出場するために今朝出発しましたので、全員で終業式を迎えることはできませんでしたが、健闘を祈っています。今日の終業式では「心を開こう、誰にでも」というテーマで話しましたので、紹介します


 皆さんは、フランケンシュタインを知っていますか。1818
年に英国人女性作家メアリー・シェリー(17971851)が、小説の中で創作した人造人間がフランケンシュタインです。優れた体力・知力と人間の心を持ち合わせていましたが、風貌が醜いものとなり、人造人間フランケンシュタインは人々から怪物として恐れられます。

 今日は、現在テレビで放映されている米国のコンピュータ会社AppleのCM「心を開こう、誰にでも」についてお話しします。このCMは、街の人々に受け入れられたいフランケンシュタインのちょっと奇妙だけど、心温まるストーリーになっています。

 人里離れた山奥に1人寂しく住んでいるフランケンシュタインは、ある晩、部屋でオルゴールの曲をかけながら、それをiPhoneに録音します。録音したクリスマスソングを暖炉の前で一生懸命練習します。翌日、朝に出発しますが、日も落ちて暗くなった頃、ようやくフランケンシュタインは人々が集まる街の広場に到着します。大きなクリスマスツリーの前に立ったフランケンシュタインは、録音してきた音楽を流しながら歌いますが、大人は不可解な眼で見つめます。しかし、5歳ぐらいの一人の女の子が一緒に歌い始め、フランケンシュタインもそれに合わせます。すると、その様子を見ていた街の人達も徐々に歌い始め、フランケンシュタインの目には涙が浮かぶという内容です。

 画面には英語版は“Open your heart to everyone.” 日本語版だと“ 心を開こう、誰にでも” というクレジットが流れます。Appleの公式Youtubeで見てみてください。
 このCMにはもっと深い意味が込められているそうです。それは「Unity=結束、団結」です。確かに今年は世界中で人々がいがみ合う事件が多い年でした。なくならないテロ、宗教対立、民族対立など、人々の絆を分断する大きな出来事がたくさんありました。フランケンシュタインは自分を恐れたり、嫌ったりしている人に受け入れられるために、荒っぽい方法は選びませんでした。小さな女の子はフランケンシュタインが困っていた時に優しく接しました。最後には街の人達が一緒になって歌うハッピーエンドでした。Appleは、こういった壊れた絆を修復して、みんなで結束しようというメッセージをこのCMに込めているそうです。

鳩高生の皆さん。

元気に挨拶していますか。

他人に優しくしていますか。

夢を諦めていませんか。

来年が、皆さん一人一人にとって、鳩ヶ谷高校にとって、絆が深まる年になることを祈っています。元気に全員で1月10日の始業式を迎えましょう。

 

《校長日誌》海外連携商品開発in台湾

 1214日から本日まで、埼玉県の県立高校専門学科の生徒12人(川越総合高校、川越工業高校、鳩ヶ谷高校、鴻巣女子高校)と引率職員7名が台湾に派遣されています。これは、埼玉県教育委員会の実践的職業教育グローバル事業の一環です。この事業は、専門高校等の生徒に、各専門分野における高度な知識・技術等を習得させるとともに、国外を含む学校・学科の枠を超えたチームによる商品開発等を体験させ、主体性、創造力、課題解決能力などのグローバル社会に必要な力を養いうもので、これらの取組を通じて、明日の埼玉の産業界を担う人材を育成することを狙いとしています。
 鳩ヶ谷高校の生徒7名は、3年生の「課題研究」の授業で、台湾で販売する食品を研究開発し、そのうちの代表3名が台湾に派遣されました。
1216日には他校の生徒と一緒に台湾台北のショッピングセンターで開発商品販売会も行いました。また、1215日には台湾の松山高級工農職業学校の生徒との交流会も行い、様々な体験をしてきました。
 台湾での販売商品は、来年2月には埼玉県内でも限定販売予定ですので、また改めでご紹介します。今後の活躍が楽しみです。

《校長日誌》『戦争まで-歴史を決めた交渉と日本の失敗-』

 今日は、日米開戦となった真珠湾攻撃から75年目の日です。新聞各紙では、日米の和解や非戦を誓う言葉がいろいろと報道されています。今年8月、加藤陽子東京大学文学部教授の『戦争まで―歴史を決めた交渉と日本の失敗―』(朝日出版社 2016年)が発行され話題となっています。28名の中高生を対象にした歴史講義がもとになっています。

 日米開戦の前に、世界が当時の日本に「どちらを選ぶか」と真剣に問いかけてきた交渉事は三度ありました。第一は、満州事変に対して当時の国際連盟によって派遣された調査団が作成したリットン報告書をめぐっての交渉と日本の選択です(1932)。第二は、ヨーロッパでの戦争と太平洋での日米対立を結びつけることになった日独伊三国軍事同盟締結についてです(1940年)。第三は、1941年4月から日米開戦直前の194111月までに日本と米国の間で交渉がなされた日米交渉です(1941年)。

加藤教授は「この講義の目的は、みなさんの現在の日々の生活においても、将来的に大人になって社会人になった後においても、交渉事にぶちあたったとき、なにか、よりよき選択ができるように、相手方の主張、それに対する自らの主張を、掛け値なしにやりとりができるように、究極の問題例を挙げつつ、シミュレーションしようとしたことにあります」と述べています。

 当時の日本がなぜより良き道を選べなかったのかを、じっくりと考えることができる一冊です。

《校長日誌》誰にも穏やかな居場所を~読売新聞埼玉版コラムより~

 12月4日付けの読売新聞埼玉版のコラム「支局から」で、徳毛貴文さいたま支局長がコラムを書いていたので紹介します。


 公開中の映画「この世界の片隅に」(こうの史代原作、片渕須直監督)が話題です。舞台は戦時中の広島・呉。見知らぬ土地に嫁いだ主人公・すずは野草で料理を作るなど、物資が減る中で工夫を重ね、1日1日をひたむきに生きます。しかし、すずは空襲で「かけがいのないもの」を失ってしまいます。「ここにいていいのか」と悩むすず。戦争は日常を懸命に生きる人からささやかな居場所すら奪っていくのです。これは過去の物語でしょうか。戦争を「いじめ」「生活苦」「虐待」などに置き換えたらどうでしょう。「いつも時代の誰にも、ふつうの暮らしと穏やかな居場所があってほしい」。映画には、こんな願いが込められているように思います。

 東松山市の河川敷で、井上翼さん(当時16歳)を死なせたとして少年5人が起訴されたり少年院に送られたりした事件で、県教育委員会などの検証委員会が中間報告をまとめました(1130日埼玉版)。そこには、5人が様々な事情で「居場所」を失った様子がうかがえます。

 ある少年は、家庭環境の問題に加えて病気も抱え、人間関係の作り方が身につかないまま高校を中退してしまいました。別の少年は安心して生活できる場所がなく、似た環境の非行少年と外泊を重ねて学校の指導が届かない状態でした。

 子供たちを被害者や加害者にしないため、何ができるのか。ささやかな居場所をどうしたら作れるのか。報告書は私たち大人に、重く問いかけています。


 この文章を、本来、教育のプロであるべき私たち教員はどのように受け止めるべきでしょうか。今回の東松山市の事件について、徳毛支局長が指摘するような問題意識を持って、中間報告の記事を読んでいるでしょうか。

 鳩ヶ谷高校にも多様な生徒が実際に在籍しています。家庭的に恵まれている者もいれば、恵まれていない者もいます。同級生と楽しく高校生活を送っている者もいれば、同級生との距離感を保てずに悩んでいる者もいます。私たち教員一人一人がリアリティを持って、生徒一人一人の変化に気づき、しっかりと居場所があるように見守ってあげましょう。そのためには、私たち教員が常に情報を共有できる職場環境づくりが大切です。

《校長日誌》奇跡の気仙小学校

 12月1日(木)午後、総合的な学習の時間で防災教育を行いました。最初に7月に実施した被災地ボランティアの参加者の発表がありました。生徒一人一人には『被災地ボランティア報告集』が配付され、現地での活動の様子を写した画像をもとに、報告をしてくれました。その後、講演会を行いました。

 今年度の講師は、菅野 祥一郎 先生です。菅野先生は、長年、岩手県で小学校の先生をされ、平成23年3月、岩手県陸前高田市立気仙小学校の校長先生で退職されました。ちょうど、在職中の最後の月が、平成23年3月11日の東日本大震災に遭遇されています。「3.11に何が起こったのか」というテーマでお話をいただきました。

 陸前高田市には奇跡の一本松があります。陸前高田市立気仙小学校は、当時92人の全校児童全員が無事に避難できたそうです。奇跡なのか・・・ということから話が始りました。当日、菅野先生は学校から離れていたそうですが、地震に遭遇し、まずは学校へ戻らなければと自動車を走らせたそうです。しかし、学校に向かう橋の入口で消防団の方(PTA副会長)が非常災害のための通行止めをしていたそうです。普段なら5分で学校に戻れるところを、30分もかかってしまったそうです。学校には、児童92名の他、教職員、地域の方も校庭に避難していました。菅野先生は自動車を運転していたので、津波が来ることをラジオで把握しており、学校に到着後、直ちに全員裏山に避難することを指示しました。裏山に避難直後、学校を大津波が襲い、校舎も体育館も失われたそうです。間一髪だったそうです。生死を分けたのは、何よりも早い判断、率先避難だったとお話しされました。平時に作成するマニュアルに縛られ過ぎると、有事の際には的確な判断ができなくなってしまいます。「津波でんでこ」の判断が大切だということです。気仙小学校の奇跡は、決断と判断をできる人がいて、指示を教職員と地域の方が速やかに従ったことだと実感しました。便利さに頼ろうとする社会は災害に弱い。気づき、考え、行動すること大切さが大切だということ、命の大切さを訴えられました。また、教育者として、成長の礎は、素直な心、豊かな心が必要であり、「フォンより本だ」と訴えられました。スマートフォンよりも本をしっかりと読むことも強調されました。我々教員にも大変参考になりました。
 東日本大震災から5年8カ月が過ぎましたが、改めてお見舞い申し上げます。菅野 祥一郎 先生にも改めて感謝申し上げます。