2017年2月の記事一覧

《校長日誌》鳩ヶ谷高校写真部校外展始まる

 今日から明日2月26日まで(25日は午前 9時〜午後7時。26日は午後5時まで)JR川口駅前の川口リリア3階展示ギャラリーで、鳩ヶ谷高校写真部が校外展を開催しています。さっそく、見学に行ってきました。9名の写真部員の力作が展示されています。3年生の3名は最後の展示会です。パンフレットでは部長が「この日のため、1年生はきれいにプリントすること、作品で思いを伝える努力をしました。2年生は部活動内の世代交代に向けて、上級生の自覚を持ち、日々の活動を引っ張ってきました。3年生は最後の作品披露の場となります。3年間の集大成として、1枚1枚の写真に心を込めて焼き上げました。」と挨拶しています。鳩ヶ谷高校写真部は今では珍しくなった銀塩写真です。1枚1枚を学校の暗室で現像したものです。写真パネルだけでなく、各自が制作したアルバムも展示しています。是非とも高校生の豊かな感性をご覧いただければ幸いです。

《校長日誌》推薦BOOK 伊東 潤『国を蹴った男』

 歴史は勝者の記録と言われます。確かに戦いに敗れた者の記録は葬り去られてきたのは古今東西同じでしょう。でも、生きていた証を検証したり、発掘したりするのは歴史の醍醐味でもあります。

 今年のNHKの大河ドラマは柴咲コウさん主演の『おんな城主直虎』です。ここで重要な人物である戦国武将 今川義元(15191560) を落語家の春風亭昇太師匠が演じています。今川義元 は桶狭間の戦い(1560)で織田信長の奇襲にあい、討ち死にしています。今川家は嫡子の今川氏真(15381615)が継ぎますが、戦国大名としての今川氏は1568年に滅亡しています。その今川氏真を描いた歴史小説に『国を蹴った男』があります。

 作家 伊東 潤さんは、2013年にこの小説で吉川英治文学新人賞を受賞されています。「死の恐怖は常に隣り合わせだったが、その反面、生きている喜びも大きかった。そんな時代が描きたくて、私は作家になった」と言っています。

主人公は、京都にある蹴鞠(けまり)工房で職人頭をしている五助という男です。師匠の工房を継承できると思っていましたがが、訳あって継ぐことができず、駿河国(現在の静岡県)で働くことになります。五助の雇い主は今川氏真。父親は戦国大名の今川義元ですが、今川氏真は戦国の世になりながら、戦を好まず和歌と蹴鞠を好みます。子供のような素直な心根の今川氏真に自分の命もかけた五助に男気を感じます。父親の今川義元が上洛の途中に1560年に桶狭間で織田信長に討たれます。時代は、今川氏真に和歌と蹴鞠の生活を許さず、盟友であった武田信玄、徳川家康に攻められ、ついに戦国大名としての今川家は滅亡します。戦国大名としてはダメダメな人ですが、何か光るものがあります。和歌や蹴鞠の腕は一級、とにかく趣味に生きた人ですが、結果として厳しい戦国時代を生き延びます。戦国大名としては優柔不断ですが、人として大きいところがあり、不思議な魅力を感じさせてくれます。歴史小説なので創作ではありますが、切なくなったり温かくなったりする、心温まる歴史小説になっています。ご一読ください。

《校長日誌》学校評価懇話会

2月10日、学校評議員会のあと学校評価懇話会も開催されました。学校評価懇話会は、平成17年度から設置されており、 学校の教育活動に対する意見・要望 、目指す学校像、重点目標についての意見交換、評価項目、具体的方策についての意見交換、学校自己評価結果報告に基づく学校関係者による評価の実施などを目的としており、学校評議員の他に、保護者代表、・生徒代表などから構成されています。平成28年度の学校評価懇話会委員は、学校評価懇話会委員を兼務している5名の学校評議員の他に、PTA後援会代表、生徒代表など11名です。当日は8名の委員が出席しました。

学校は、管理職の他、教務部、進路指導部、生徒指導部、各学科、各学年から主任等が出席しました。校長が平成28年度学校自己評価システムシートの取組について説明した後、教頭が生徒・保護者アンケートの集計結果と分析について説明をしました。各学年主任が各学年の取組について説明後、教頭が各分掌の取組概要について説明をしました。

協議では、大きく学力向上、進路指導、生徒指導の3つの観点からの意見交換を行いました。生徒代表からは、

○ 先生方の授業のペースが速すぎたり、わかりにくい授業がある。教え方のうまくない先生は、教え方のうまい先生の授業を参考にしてほしい。先生の教え方で授業での達成感が決まると思う。

○ 「進路ノート」をもっと活用し、普段の授業や総合的な学習の時間などで活用すると、生徒ももう少し進路や勉強のことを意識すると思う。

○ 先生方には「○○ができていない」というアドバイスではなく、生徒がやる気が起きるアドバイスがほしい。

○ 2年生3学期の進路バス見学会はとても良い経験になった。もう少し早い時期に実施してくれると、生徒も進路を考えるきっかけができると思う。2年生の初めから、進路についてきっかけづくりを強力にしてもらいたい。

○ 先生方は、もっと生徒一人一人に向かい合ってもらいたいと思う。1学期だけでなく、もっと二者面談をしてほしい。生徒の中には、先生に相談したくても忙しそうにしているから遠慮している生徒もいる。

○ スカート丈はなかなか直らないので、全校集会などで徹底したらよいと思う。

○ 授業の始めにスカート点検をやるのは良いと思う。スカート点検をする反面、きちんとしている生徒もいるので、時間がもったいない。スカートの短い生徒だけを呼び出して指導してほしい。

○ 整容指導では、注意しても変わらないのであれば、生徒と保護者にしっかりと説明した方がよい。ただ怒るだけでなく、説明して理解と納得させる必要があると思う。

などの発言がありました。私たち教員がしっかりと受け止めて対応しないといけないと思いました。

 また、学校評議員や保護者からは、

○ 保護者に学校の通知文が届かないという声を聞く。学校ホームページやメールの活用など工夫があるとよい。

○ スカート丈は、自分の娘も高校生の時に注意してもなかなか直らなかったが、娘が「自分が母親になって高校生 の時に注意されていた意味がわかった」と言っていた。大変だと思うが、粘り強く指導してもらいたい。

○ 生徒の帰宅時間が遅いというアンケート結果がある。6月にも指摘したが、生徒の安心・安全の観点から、教員の多忙化解消の観点からも、部活動を含めた完全下校時間を設定する必要がある。

○ 今回のような生徒の声を聞く場を設定するとよい。生徒の声をしっかりと受け止めて改善に取り組んでほしい。

 学校評価懇話会でも、生徒・保護者・有識者から、建設的な意見を多数いただきました。特に、生徒からの「教え方のうまくない先生は、教え方のうまい先生の授業を参考にしてほしい。」という指摘は、我々教員が真摯に受け止めなければならない点です。「授業が勝負」の気概で授業に臨みたいと思います。

《校長日誌》人間の本気

昨日は、鳩ヶ谷高校の情報処理科の生徒が参加する行事が重なりました。一つは、法政大学で開催されたクエストカップ2017全国大会、もう一つはイオンレイクタウンで開催された開発商品販売会です。午前中は法政大学市ヶ谷キャンパス、午後はイオンレイクタウン(埼玉県越谷市)に行き、生徒諸君を激励してきました。

クエストカップ2017全国大会は、クエストカップ実行委員会と()教育と声の探究社が主催する、実在の企業や人物を題材に、現実社会から「生きる力」を学ぶ教育活動です。6企業から出されたミッションに中学生・高校生がプレゼンテーションで応えるものです。今年度は全国約13,000人の中学生・高校生から代表78チームが法政大学に集まりました。答えのない課題に、仲間で話し合い、考え抜き、生み出した探究の成果を発信しました。会場には、法政大学を始め多くの大学ボランティアも参加し、会場は熱気に包まれていました。審査委員長の 米倉 誠一郎 一橋大学イノベーション研究センター教授の挨拶から全力疾走でした。鳩ヶ谷高校は、大和ハウス工業株式会社のミッションに、チームエレクトロ(4名)が出場し、「発電テーマパークを作ろう!」というタイトルで力強く、そしてチームワークよく発表することができました。

開発商品販売会は、埼玉県教育委員会の実践的職業教育グローバル事業に関連する取組です。専門高校等の生徒に、各専門分野における高度な知識・技術等を習得させるとともに、国外を含む学校・学科の枠を超えたチームによる商品開発等を体験させ、主体性、創造力、課題解決能力などのグローバル社会に必要な力を養います。これらの取組を通じて、明日の埼玉の産業界を担う人材育成を目指し取り組んでいるものです。今年度は、鳩ヶ谷高校の生徒は商品開発部門で参加し、「ピポリパ」というエスニック風味のピリ辛味のスナック菓子を開発しました。12月には台湾でも販売実習を行い、大好評でした。今回も午後2時には完売し、私がイオンレイクタウンに着いたときには完売後でした。他校の生徒の販売も好調で、午後3時30分の終了時には、埼玉県の高校生の充実した笑顔がイオンレイクタウンにあふれていました。

昨日、とても印象的だった言葉がありますので、紹介します。クエストカップ2017全国大会の開会式での全国大会テーマの朗読です。大学生が思いを込めて語っていましたが、午前、午後の専門高校生の活躍を見て、実感しました。私たち大人も本気を見せましょう。明日からは、埼玉県公立高等学校入学者選抜の出願が始まります。受験生へのエールも込めて紹介します。

 

「人間の本気」(クエストカップ2017全国大会テーマ)

キミは何かに本気になったことがあるか

負けられない勝負。手に入れたい大好きなもの

絶対にやり遂げたい大切なこと

そんなものを前にして

人は、死にものぐるいなることがある

成功するか、失敗するか、結果は誰にも分からない

だけど、持てる力のすべてを振り絞り

何とか届けと、手を伸ばす

本気になれば、なんだってできる

本気になれば、奇跡だって起こせる

本当に望む未来に向けて歩き始めよう

さあ、人間の本気を、見せようじゃないか!

《校長日誌》平成28年度第2回学校評議員会

 210日、第2回学校評議員会、学校評価懇話会が開催されました。2回にわたって、学校評議員会、学校評価懇話会の内容について報告します。第1回は、学校評議員について報告します。
 学校評議員会は、平成14年度から設置されており
、「学校評議員は、校長の求めに応じて、意見等を述べることができる。」と規定しており、「校長は、学校評議員の意見等を学校運営に生かすものとする」と規定されています(埼玉県立学校評議員設置要項第4条)。学校評議員には、「教育に関する理解や識見を有することを条件とし、保護者や学識経験者、地域や産業界等で活躍している人など、幅広い分野から人選し」(「埼玉県立学校学校評議員設置要項」運営上の留意事項について)と規定されています。平成28年度の鳩ヶ谷高等学校の学校評議員は5名の方に委嘱しています。今回は4名の方にご出席いただきました。
 学校評議員会では、次のような意見を頂戴しました。

○ 自学自習ができる個別動画コンテンツがあるのには驚いたが、時代にマッチしている。平成29年度から新1年生全員、新2・3年生の希望者に導入する「スタディサプリ」を授業と連動させると効果があるのではないか。

○ 自分の子供が在籍していた頃よりも、学校自己評価システムシートの方向性が明確になっている。生徒アンケートの数値が低下したのは慣れがあると思う。自分の子供の経験からすると、できるだけ早期に目標を持たせることは大切だ。目標を持てば授業態度も変わってくると思う。

○ 進路指導体制のフレームづくりが大切だ。平成29年度からの取組を考えると、従来の取組にしばられない柔軟な進路指導体制づくりが不可欠だ。進路多様校で進学・就職の両方に対応するので大変だと思う。進学指導は、最近増えている再任用教員の経験なども活用して、早期に新体制を構築してもらいたい。

○ 保護者の立場からすると、整容指導は強く求められている。自信を持って取り組んでもらいたい。最初の1年は大変かもしれないが、3年後には大きく変わっているはずだ。

○ 学力向上、進路指導、生徒指導など全てリンクしていると思うので、一つ変わると他も変わってくると思う。

 校長として、「ご意見を真摯に受け止め、すぐにできること、少し時間をいただくことなどあると思いますが、組織的に取り組んでまいります。」と回答しました。次回は、学校評価懇話会の内容について報告します。


《校長日誌》『推薦B00KS』

 鳩ヶ谷高校図書館のコーナーで紹介しています平成28年度版『推薦BOOKS』が完成しました。鳩ヶ谷高校の教員のお薦め本紹介が載っている冊子です。鳩ヶ谷高校図書委員会が、館報『図書』と隔年で発行しています。今回は、私が掲載した内容を紹介します。以前ここでもご紹介した加藤陽子東大教授の『戦争まで―歴史を決めた交渉と日本の失敗―』(2016年 朝日出版社)を紹介しました。

 この本は、人間関係に悩んでいる人に是非とも読んでもらいたい一冊です。私は地歴公民科(専門は日本史)の教員ですが、歴史上の国々の交渉は、人間関係と重なるという思いも伝えたくて授業をやっていました。

 平成28(2016)年は、歴史教科書に掲載されるような出来事がありました。70年ぶりに選挙権年齢が変更され、20歳以上から18歳以上に引き下げられました。また、国は、民法の成人年齢を現行の20歳から18歳に引き下げるための改正案を検討しています。改正案が成立した場合、施行までに3年間の周知期間を想定していますが、明治9(1876)年に満20歳になった成人の定義が変わります。このように、大きな転換期に私たちは生きています。

 今回紹介する本は、加藤 陽子 東京大学教授が7年前に出した評判を呼んだ『それでも、日本人は「戦争」を選んだ』(2010年)の続編をなす著作です。前作では、17人の中高生を相手に日清戦争から太平洋戦争までを語った講義録で、ポイントを衝いた加藤教授の解説と中高生の生き生きした反応で、日本が戦争にのめりこんでいく過程が実にわかりやすく書かれています。今回は、28人の中高生に対して問いかけながら、昭和という時代になぜ戦争に至ったのかを考える中で、歴史を知ることの意味を伝えています。193040年代の世界的な危機の時代の日本の運命を決めた3つの外交交渉として、満州事変(1931年)をめぐるリットン調査団の報告書(1933年)、日独伊三国軍事同盟の締結(1940年)、そして日米開戦の直前まで続けられた日米交渉(1941年)の選択を検証しています。

加藤教授は、中高生に、講義の目的を「交渉事にぶちあたったとき、なにか、よりよき選択ができるように」するためのシミュレーションだと伝えています。この講義をしたことの背後には、今の日本と世界に対する危機感が流れています。「治安悪化やテロの温床となるという恐怖心から、難民への敵意をむきだしにした排外主義的な示威運動なども起きています。(中略)このような恐れの感情、そして、愛する人が殺害されるのを見殺しにていいのかといった、強い感情が出てくる瞬間が、日本においても将来、きっとある。そのような事態が起きたとき、私たち人間が選択を誤らないために、恐怖にかられた人類というものが、どう振る舞ってきたか、それを知っておくのは重要です」と語っています。

人が「嫌な奴」とみなす相手に過剰に反応するきっかけは、被害者意識、相手が信用できない、不安や恐怖といったものが多いです。その感情が憎悪に転換した時、人は過剰に攻撃的になったり暴力的になったりします。

 自分自身、日本が戦争に向かった歴史を知っていたつもりでしたが、そこに至る道を改めて学ぶ中で、知らなかったことの多さに気づかされました。「歴史のお勉強」がより良き人間関係を選択するために「役立つ」と実感できる一冊です。